P.15『踊る心と飛ぶ花粉』

 土手に若葉色が見え始めて、大犬の陰嚢オオイヌノフグリ蒲公英タンポポが花を付ける。空の青が段々と濃くなってきて、世界を巡る風の冷たさは和らいでくる。梅が咲き、桃が咲いて、そして世界に桜色が満ちる。


 心躍る陽気な季節がやってくるというのに、世界がよく見えない。花粉症さえなければ、いい季節なんだけどなぁ……。

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