第2章 働きたくないのに強制労働!?

「おい、新入り! さっさとこれを運べ!」

「えっ、ちょ、なんで俺が!?」

 俺は気がつけば、村の労働者たちに囲まれていた。どうやらこの村は人手不足らしく、働き手を見つけ次第強制的に働かせるという恐ろしいシステムがあるらしい。

「俺はただ寝ていただけなのに……」

 異世界転生早々、まさかこんなブラックな環境に放り込まれるとは思わなかった。

「いや、待て。俺には《怠惰スキル》があるんだ……!」

 俺は意識的に体の力を抜き、地面にへたり込んだ。動かない、何もしない。すると……。

「なんだこいつ……? まったく動かないぞ?」

「もしかして、ものすごく疲れてるのか……?」

「しょうがねえ、俺たちでやるか……」

 ……よし! うまくいった!

 労働者たちは俺を気遣い、自分たちで仕事を片付け始めた。これが《怠惰スキル》の力……!

「やっぱり俺は動かずに生きていけるんだ!」

 しかし、そんな俺の喜びも束の間。

「怠けているやつがいると聞いたが……」

 村の奥から、巨大な斧を持った屈強な男が現れた。

「働かざる者、食うべからず!!」

「いやああああああ!!」

 俺の楽したい異世界生活は、波乱の幕開けを迎えたのだった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る