第3話 予想外のパン
神様達
「ふーん。彼不思議な人ね。いきなり未知の世界に連れてこられて...まぁ頑張ってねー。」
「なに悠長に見てるのよ...。あら?彼情報収集から始まるみたいね。」
本文
「ギルドですか?それならまっすぐ行ったところにある大きな建物ですよ。」
俺こと九条樹生はホカホカのパンを買いながら店主のお姉さんにギルドの場所を聞いていた。
「ありがとうございます。これ代金です。」
金貨を一枚出すと店主のお姉さんはわたわたとしながらお釣を出してきた。
「銀貨9枚、銅貨9枚、青銅貨8枚になります!」
ジャラッと大量のお釣が出てきた。
「ありがとうございます。細かい持ち合わせがなくて……」
そういうと店主のお姉さんはニコッと笑い「いえいえ」といっていた。
「このパンふわふわでうまそう……」
樹生はそういうと買ったばかりのパンにかぶりついた。実はかなり空腹だった。
「うまっ!」
予想以上にパンが美味しかった。異世界のパンと言えば黒い、硬い、味気ないだがこのパンは日本製のパンにも負けないくらい美味しかった。
「ふふ、面白いお兄さんですね♪」
お姉さんがクスクスと笑っていた。
いくら空腹だったとはいえ、恥ずかしくなってきた。
「ありがとうございます。目の前でこうして食べて、美味しいってあまり言われないですから」
本当に嬉しそうにお姉さんは笑っていた。
「最後のお客さんがあなたでよかったです。」
「えっ!今日でお店終わり何ですか?」
驚いた。こんなに美味しいなら経営が立ち行かないなんてことないと思うけど……
俺がそんなことを考えていると予想外の返答が帰ってきた。
「あまり大きな声では言えないんですけど、この国どうやら大きな戦争を始めるそうで色々と危険なことになりそうでして。しかも明日からは国民の出入りを規制するそうでして…他の国に移住しようとしていたんです。」
樹生は絶句した。なんとなくそんな気はしていたが、ゆっくりしている時間はなさそうである。
「お兄さんも気をつけてくださいね。」
そういうとお姉さんは紙袋いっぱいの色々な種類のパンをくれた。
「これは?」
樹生は急に出てきたパン達に唖然としていた。
「今日作りすぎちゃったんです。保存食にもなりますから、またどこかで会えたらまた買ってくださいね!」
「……はい。必ず買いに行きます」
樹生は笑顔でお姉さんと別れた。
「うん。やっぱり美味しい…」
異世界最初の食事は不安もなくなる美味しいパンであった。
「ふむ……このホワイトマーケットってスキルは何なんだ?」
歩きながら樹生はスキルを眺めながら唸っていると……
『ようこそ!ホワイトマーケットへ』
いきなり目の前に画面が現れた
「つっ!」
急に現れたそれに驚きながら、画面に触れてみた。
『ホワイトマーケットへようこそ!ここでは適正な価格と最高の品質で商品をお届けします。さぁお手元のお金を右下の投入口へINです♪』
「···········」
何だか妙に距離感が近い説明である。
「………周りの視線もあるし落ち着いた所で確認しよう」
俺は一度スキルボートを閉じ、ギルドに向けて歩き始めた。
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