バレンタインは、甘くて激しい戦争である。

異端姫のSSにあたる本作。

まず肝は天宮楓という人物が『バレンタイン』の概念を知らないことである。
このごく一般的なイベントの概要を主人公──楓が知らない理由は異端姫の本編を是非とも読んで把握してほしいのだが、知らないということは嘘の情報を吹き込まれても嘘だと見抜けないのである。

つまり、案の定、木葉に嘘を吹き込まれる楓。
これが本作の発端なのである。
さて木葉の術中にはまった楓の運命は……。



さて、ここからが個人の感想になります。

まずですね、やはり斑鳩さん(作者)は「白魚のような指先」や「濡羽の髪」といった細部の表現が素晴らしいです。ところどころに書き込まれたその表現が、(異端姫本編もそうでしたが)作品全体を綺麗や儚げな印象にまとめあげていて思わず感嘆してしまいました。

しかし今回、内容自体はコメディ方面であり、騙された楓が波乱のバレンタインに巻き込まれるものであり、特に楓や光希には各々いわゆるガチ勢が存在しているため、一筋縄ではいかず、最終的にわちゃわちゃした戦闘込みの追いかけっこになるところは笑うしかなかったです。

そうして、最後、本当に誰なんでしょうね。『誰かさん』がご丁寧に拾いに来て、大事に食べて笑ったのは、はい、本編を見た方なら言うことなしでしょう。読者であるこちらとしても、ごちそうさまでした。

実に読みやすく、面白い作品で楽しめました。
また季節ごとのイベントで、彼らが世界で生きる姿を見せてもらえたら嬉しいなと思います。やはりこの世界、好きです。ありがとうございました!