『慣れって怖い』
古いアパートの2階、一番左の部屋。霊感のない人でも何かおかしい。近付きたくない雰囲気。オーラが漂っている。
誰でも一目でヤバさが分かる。いわゆる”いわく付き物件”である。ちなみに今回は、ポ○モンのイ○ーク付き物件とかではないよ。
ガチャ。鍵を開けて帰宅した男性。手を洗おうと蛇口をひねる。血のような赤い液体が流れ出る。
蛇口を更にひねり、赤い液体をしばらく出し続けると、色が赤から透明になった。手を洗い終えた男性は、床をきしませながら部屋の奥に移動。途中で窓ガラスに黒い手形が無数に現れたが、気にも留めない。
ソファに座りテレビを点ける。画面には”見覚えのある井戸”が映る。中から出て来る全身白色の長い黒髪の女性。
女性を引っ張り出し、ソファに座らせると、テレビのチャンネルをバラエティー番組に切り替える。
この部屋で何事もなく生活している男性は思う。
人間は心霊現象に限らず、料理とか、車の運転でも良い。最初は怖かった事でも、繰り返す事で慣れて何も感じ無くなる。慣れって怖い。
そう言った意味では、人間が一番怖いのかもね。
男性が振り返る。本来あるはずの目・鼻・口がない。”男性達”はフッと消え、部屋は静かになった。
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