ダスト M ドラッグ

霧雨煙草

プロローグ

売店の店員の朝は早い


慣れた手つきでドアのセキリティ認証を

開け決して広いとは言えない

店内に身を滑らせた。


本社から送られてくる

見てると目がキツくなるほどビビッドな

ドラッグカラーのポップが並ぶ

敷き詰められた商品カウンターの

電源を入れ

無事にロックが解かれたのを

確認するとミュトは

身体を伸ばし息をつく

「今日はどんな事が起こるかな」

彼女は自分の特徴である

往年のパンプキンヘッドを想起させる

デコボコの自分の口元をなぞり

笑う。


脇の棚に置かれたもう一つの、商売道具

の液晶は、何時でも大丈夫だと言わんばかりに

頼もしくモニターの光を放っていた

荷物と荷物の間にいつも通り

違法CDも紛れ込ませてある


世界は、娯楽を禁止した






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