第4話「dog(犬)」

 木で造られた小舟の船首に立ち、甲冑を身に纏い腰に小刀を携え、“日本一“と書かれた昇りを背負う桃太郎と名乗る青年に白い犬は問う。


白い犬「あの〜、桃太郎さん。ボクら今ドコに向かっているのですか?」


すると桃太郎に代わって同じ小舟に乗船している猿が答えた。


猿「おいおい、お前知らないのかよ。あの有名なだよ」


白い犬「えぇ?!聞いてないよ。どうしてそんなおっかない場所に行くの?」


今度は、桃太郎の右肩に乗っていた雉がこちらに飛んで来て答える。


雉「畑仕事をしていたらい突然、とんびに言われたらしいですよ」


雉の発言で白い犬は桃太郎の行動にひいた。


白い犬「えぇ!?鳶に言われたからって普通行くかな?」


猿「ま、普通の人間なら行かなねぇな」


雉「桃太郎殿は普通ではありませんからね(笑)」


白い犬「つまりは傾奇者かぶきものってこと?」


猿・雉「……」


猿、雉は桃太郎の格好をまじまじと見て納得する。3匹の話を黙って聞いていた桃太郎はくるりと後ろを振り向く。


桃太郎「犬よ。儂は吉備団子をあげた時に説明したぞ?」


白い犬「え?ボク貰ってませんよ?……犬違いじゃないでしょうか?」


どうやら桃太郎、小舟を漁師から借りる時偶然に海岸に遊びに来ていた犬と吉備団子をあげた犬を間違えて乗せてしまったらしい。


桃太郎「どうしよう。舟降りる?」


白い犬「無茶言わないで下さいよ。この広い海に泳いで帰れってことですか?!」


桃太郎「そうもそうだな……お前何か特技はあるか?」


白い犬「金銀財宝の在処が匂いでわかるくらいですね」


(完)🐕



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