朝、目が覚めたら
いや、赤ちゃんが出来て結婚してくれなきゃ困るんだけどさ。
「だけど、先輩が結婚しようって言ってくれてぇ」
いや、でも……。
この間まで、結婚なんて考えられないなんて言っていた仲間だったのに。
「ごめんね、先に結婚する事になって?」
なんて憎たらしい程の笑みを浮かべる親友が、目の前にいるのは現実でおめでたい話だ。だけど、まさかの二重発覚に大きなショックを受けたのも事実。
「何言ってんの、ユミ!おめでとう!!」
なんとか笑顔を作って、溜め息を飲み込んでみせた。
「あり得ないでしょぉー?」
「アリカ、あんた大丈夫?」
「ユミだけが仲間だったのにぃぃぃ!!!」
「ちょっと……、飲み過ぎだってば」
「あーたーしーをー、置いてかないでぇぇぇー!!」
なんて叫ぶ私の記憶は少しばかりか残っている。
「マジ、悪酔いし過ぎだってばぁ!」
「ぜーんぜん、酔って無いし!!」
大量にアルコールの入った脳味噌は最高に気持ちが良かった。
「……」
「ぎゃはははは!!!」
なんか、ふわふわして頭も暖かくて自分で何をしているのかも全部理解できない。
「ほんとに勘弁してよー」
呆れたユミの声がぼんやりと耳に入ってきたけど。
既に意識が半分夢の中だった。
「ったく、迎えに来させるか」
なんて台詞と共に、ユミがスマホを手にした事もかすかにしか記憶に無い。
カーテンの隙間から朝の眩しい日差しが覗き込んで、心地良いぬくぬく感が私をおそう。
「……ろっ、」
「……」
「起きろってば!」
「んー……」
そんな中、男の人の声が耳元で響いた。
その大きな声のトーンが頭にガンガンと痛い。
瞼も身体も重たくて……。
気持ち悪い。
完全に二日酔いなんだろうな。
そう思い、目を瞑ったままガンガンする頭に右手を当てた。
「お前、仕事だろ?遅刻するぞ!」
「……はっ??」
"仕事"と"遅刻"という単語を聞いて、一瞬にして目が覚める。慌てて辺りを見回すと、見覚えのあるユミの部屋のベッドの上だった。
そして、目の前にいるのは……
「ダッ、ダイ!!!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます