独身貫いて死んだら賢者の称号を得たので魔法を極めてみる

髙龍

第1話

原田源一はそれなりのエリート路線を歩いてきた。

だが、生まれてから彼女なんて出来なかった。

「ふっ。最後まで1人か・・・。それも悪くない」

そう言って息を引き取った。



「おぎゃぁ。おぎゃぁ」

あれ?

私は死んだはずでは?

そう思ったが口から出るのは「おぎゃぁ」という言葉のみ。

「あらあら。お腹が空いたのね?」

そう言って綺麗な女性が自分の服をはだけ柔らかい物を押し付けてくる。

自分の口は自然と何かを含み人肌の液体を嚥下する。

ある程度、液体を摂取すると今度は眠気が襲ってくる。

背中をとんとんと押され「げっふ」とゲップを吐き出す。

源一の意識があったのはそこまでだった。

それから源一は何度も同じことを繰り返した。

どれぐらいの時間が経ったのか冷静に物事を考えられるようになり考察する。

私は生まれ変わったのか?

そんなことが本当に起きるとは世の中というのは不思議な物だ。

物事を冷静に見れるようになったことで両親と思われる2人を観察する。

金色の髪に長い耳。

どちらもかなりの美形だ。

そこから連想されるのはエルフという種族だ。

幼い手で自分の耳を触れてみれば自分の耳も長いようだ。

地球上では物語の中だけの存在だったが自分がそんな種族に生まれ変わったようだった。

「リルスは手間のかからない子だね」

「そうね。夜泣きも思ったより少ないしきっと貴方に似て優秀な子よ」

「僕は普通に育ってくれればそれでいいさ」

両親はそう言って笑いあっていた。



源一、改めリルスはすくすくと成長していた。

あれから時間が経ち3歳となっていた。

はいはいも覚え家中を歩き回る。

両親はすぐいなくなるリルスを探し回りかけまわっているがこれはやめるわけにはいかない。

赤ん坊だからと言って寝て起きてではつまらない。

動き回れるなら体を鍛えるためにも動くべきなのだ。

「リルス?見つけたわよ」

そう言って母親であるリーゼが捕まえようとしてくるがリルスは全力で逃げる。

ここからが本番と言わんばかりに先ほどよりも早いペースではいはいを行う。

後ろからはリーゼが全力で追いかけてくる気配がするがリルスはそれに構わず全力で逃げた。

だが、リルスはもう1人の存在に気が付くべきだったのだ。

「捕まえた!」

そう言って隠れていた父親であるフェルトに捕獲されてしまった。

「ふふ。まだまだだね」

そう言ってフェルトは頭を撫でてくる。

「貴方。助かったわ」

「乳飲み子だった頃は手間がかからなかったのに動き回るようになったらこんなにやんちゃになるなんてね」

「まったく誰に似たのかしらね」

「本当にね・・・」

両親は不思議そうな顔をしていたが、しばらくすると笑いあった。

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