巫女様!?愛の供給が重すぎます…!!

あきせ

プロローグ 月と誓いの庭

世界の果て、《ルーナ・ガーデン》——。

 そこは、月の巫女とその騎士だけが住まう、静寂に包まれた浮遊島。


 夜になると、空には蒼白い月が浮かび、庭に咲く白い花々が淡く光を放つ。風が吹けば、花びらが舞い、まるで夜の精霊たちが踊っているかのようだった。


 その庭の中央に、一人の少女が立っていた。


 エレナ・ルーナライト。

 月の巫女として生まれた少女。透き通るような銀髪が月光を受けて輝き、深い青の瞳には、どこか物憂げな光が宿っていた。


 エレナの隣には、赤い髪の少女が立っていた。


 リリア・ヴァレンティア。

 エレナに仕える騎士であり、彼女を守ることを誓った存在。情熱の炎を宿すような紅い髪と、鋭くも優しい緋色の瞳を持っている。


 夜の風が二人の髪を揺らす。


 エレナは静かに息を吐き、そっとリリアの手を握った。


 「リリア、私は……この世界のために、巫女として生きなければならないの?」


 リリアは驚いたように彼女を見つめた。しかし、すぐに微笑み、優しくその手を握り返す。


 「あなたがどう生きるかを決めるのは、あなた自身です」


 エレナは瞳を伏せ、少しだけ微笑んだ。


 「じゃあ……私は、リリアと一緒にいたい」


 リリアの胸が、強く波打った。


 それは、騎士としての使命を超えた感情。

 しかし、リリアはそれを言葉にはしない。ただ、エレナの手をしっかりと握りしめた。


 「どこへ行こうとも、私はあなたのそばにいます」


 それが、二人の誓いだった。

 ——たとえ、この先にどんな運命が待っていようとも。

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