第2話 AIの予言

近未来SF小説


 8月、各種のAIがとんでもないことを言いだした。

「地球滅亡に近づいている」

 という。その時期を聞くと、AIによってさまざまだが、3年から5年とはじきだしている。このことを情報番組はトップで扱った。コメンテーターはいろいろな反応を示したが

「AIの暴走ですね」

 と言う人が多かった。だが、金持ち連中は動きだした。スペースシップへの予約が殺到したのである。しかし、移住先はどこになるか決まってはいない。とりあえずは、宇宙ステーションを拡充してそこに滞在するという。まさにVIP専用である。アメリカやロシア・中国といった大国は、月への移住をすすめるために巨大ドームの建設を始めた。それでも、限られた人でしかない。

 そこで金持ちが考えたのは核シェルターへの避難である。各国が保有する核シェルターだけなく、保安企業が各地に小規模の核シェルターを増設したのである。ちなみに日本では北海道の平地に100人程度が入れる核シェルターが建設された。その入居料一人10億円である。

「核シェルターに避難しても地球が滅亡するなら、大きな棺桶に入るようなもんだよな」

 と工藤が大森に言うと

「そうだよな。みんなで死ねばこわくないと思うんだけどな。オレなんかどういう死に方をするかを考えるけどね」

「死に方か? お前はどんな死に方をしたいんだ?」

「うーん、まだ決まっていないけど・・一度空を飛んでみたいのでスカイダイビングかな」

「パラシュート着けていたら死なないだろ。開かなくてぶつかったら悲惨だぞ」

「それもそうだな。そうだ。飛行機の操縦やってみたいから、セスナ機で海につっこむというのはどうかな?」

「操縦免許もってるのか?」

「ないよ。ミッションインポッシブルみたいに飛行機を奪取するってのはどうだ?」

「コンプラ違反だな」

「悪者になって死んだら地獄行きか、それもいやだな」

「結局はポンペイの噴火のように火砕流に巻き込まれて死ぬのが関の山かな」

「それまで恐怖の日々を味わうんだよな。それもいやだな」

「それじゃ、先に自殺するのか?」

「そうするかもしれないな」

「でも、もし地球が崩壊しなかったら死に損じゃないか」

 大森は少し考えてから

「そうだよな。でも、崩壊寸前の地球で生き残ってもつらいだけだよな」

「やっぱり先に死ぬか・・・」

 という工藤の言葉に大森は黙り込んでしまった。


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