第46話 小さな蛍光灯の下で
2017年07月20日(木)12時22分 =
椅子に糸のような何かで縛り付けられた状態で俺は目を覚ました。そして、机を挟んで反対側には
こいつ、
というか、壱課が二人もいるとかどんだけ暇なんだよ...。いや、それほど今回の案件が厄ネタなのか。どちらにせよ、俺から仕掛けることもできない。
「それで、何をご所望で?」
とりあえず、こちらから話を振ってみる。
「流石に状況は飲み込めているみたいね。それじゃあ一つ、あなた達はアレとはどのような関係かしら。」
「アレ...、
「
「少なくとも、その言葉に嘘はないですね。」
「そう。だったら、貴方はどうしてそんな子のために
流石にわかってたか...。
「どうしてって、そりゃ急に扉を蹴破って突入してくるような人には警戒をするでしょう。一緒にいる人が誰であっても同じ行動をしますよ。今回はたまたまあの子が居ただけです。」
嘘は言っていない。実際、急に突入してくる対象に警戒をするのはどう考えても自然な行為だ。ましてやこちらは自分の家という守るべき対象ですらある。これについて追及されることはまずないだろう。
それに、呼吸、脈動、表情の裡に覆い隠した焦燥感。そこから導き出されるのは速球な問題の解決のための答えの渇望。だから俺は嘘ではないが本当でもない答えで押し通す。さあ、聞け、そして無駄に時間を使え!
「あなたたちは分かれたわけだけど、そのあとに合流する予定だったのかしら。」
「いや、そんなことは話していない。元々別れる予定自体無かったからな。」
そこに嘘はない。悩め、そして時間を浪費しろ!
「わかった。
質問が来るかと身構えていた俺にとって、その発言はとてもと言ってよいほどの拍子抜けだった。
「はいはーい、じゃあ
「えっ、なんでぇ!?」
そう言ってズルズルと引きずられていくのを見届ける。そして、バタンと取調室の扉が閉じ、俺と俺の背後に立つ男の二人だけが取り残された。
それから1,2分。無音が室内を支配する。それを切り裂いたのは後ろの男だった。
さも当然のように俺の目の前の椅子に座り、机に肘をつき、頬杖をつく。そして、俺に話しかけてくる。
「
「・・・はあ?」
「いや、訂正しておこう。お前、
まずいまずいまずいまずいまずいまずいまずい。なんで、どうして、なぜ。隠していたはずだ、見つからないように、隠匿したはずだ。
「・・・んー。なるほど、君...いや、君の眷属もこちら側ってわけね。それで、何が望みだ?」
背筋に冷汗が伝う。呼吸の一回が肺を傷つけるような恐怖に蝕まれる。だがこれは交渉の場だ。相手のペースに飲み込まれるな、上っ面の余裕を張り付けろ。
「んふ、取引をしよう。君のこの事実について確実に隠匿し、さらに今
「GPS...なるほど。だから居場所が割れたのか。・・・わかった、それで何が欲しいんだ?」
いつの間に...あ、
「欲しいのはただ一つ。
「・・・それは、いいが。俺も全てを知ってるわけではないぞ?」
「ああ。だが、何分こちらとしては誰が敵で誰が味方なのか、さらには
こいつ、確実に主導権を握ってきている。俺すらも奴の掌の上というわけか...。
「分かった...。だが、憶測を含めた俺の考察だからな。」
一度深呼吸をし、脳内の焦りを一度追い出す。
「俺が思うに、
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