終わりなき理想郷
@DDice
時を駆け、聖夜に舞い降りる
第1話 鈍く光るはいつかの夢
あの事件のことを今でも覚えている、6年前の冬。今思えば、それが今の俺になった転換点かもしれない。それほどあの事件は俺自身にとって色濃く残った。
その事件の名は、
事件は表向きには下水道の配管に溜まったガスになんらかの形で着火され爆発したとされているが、
本当の原因は
彼らが何をしようとしていたのか、それを知っているのは俺こと
そして、今から語るのはそんな6年前に起こった
2011年12月23日、当時高校二年生だった俺は何気ない日常を過ごしていた。その日は友人と駅前にできた新しいカフェである喫茶店『klak』に足を運んでいた。
一つだけ言っておくが、別にこのとき一緒に来たのは彼女とかではなく男友達だ。そして、共にこの
まあ、そんなことは置いておいてだ。そのカフェからの帰り、大体午後3時を過ぎた頃だろうか。大型トラックが何台も通り過ぎるのを見届けながら駅前を去り、住宅街へと踏み入る。祝日であったから家で過ごしている家族も少なくない。そんな各々の日常の合間を縫い、俺は
そんな平和的な日常の最中、それは起きた。
鼓膜を破らんとする程、大きな音圧とともにやって来る爆風。
網膜を焼き潰さんとする程、眩く光り輝く爆炎。
呼吸器に異常をきたさんとする程、舞い散る噴煙。
それらが告げた、
長い銀髪、華奢な体は強く握るだけで折れてしまいそうなか弱い存在。しかし、この場ではその誰よりも強く、強靭に振る舞っている。そして、
「大丈夫か、大きなけがは...無さそうだな。立てるか?」と、声をかけてくる。9か月前に起きたあの災害もこんな感じなのだろうかと、無意味なことを思案しつつも手を借りて立ち上がる。
「俺はこういうものだ。」と警察手帳を胸ポケットから取り出した
「いきなりですまないが、時間がないんでな。君たち、1時間前はどこにいた?」と、
俺ら二人は唖然とし、互いに今が現実なのかと確かめようと頬をつねってみたりしていたが、ここで俺は気づいてしまった。
爆発が起きた方向は俺らが帰ろうとしていた方向であり、その先には帰りを待っているはずの家族がいるということだ。つまり、俺の家族はこの爆発に巻き込まれてしまったのではないのか?
そう考えると居ても立ってもいられずに、俺は家の方へと駆けだしていった。
結局のところ、俺の家族が戻ることはなかったのだが...。
そして、一頻り涙を流してもう枯れ果てた頃。空間を劈くように、破裂音が崩壊した街中を駆け巡った。どうやら幻聴ではなく、
周囲を見渡し、何が起きたのかと確認をしようとした瞬間、地が揺れる。体の芯から燃え上がるような痛みと苦しみを感じる。重力に従って体が地面へと吸い寄せられる。だんだんと、瞼が重くなる。
やがて、重力にすら抵抗できなくなり瞼を閉じ切った俺の目が次に見た光景は、喫茶店の中だった。
どうやら
そんな中、カランカランと扉のベルを鳴らしながら一人の男が喫茶店の中へ入って来る。そしてその男はまっすぐ俺らのところへと歩いてきた。その男のことを俺らは
「やあ二人とも。さっきぶり、かな?」と、
ここからが本当の
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