第2話:私、絶対諦めませんから・・・。

「いいんですミスターで、って言うかミスターじゃなきゃダメなんです」


「そう・・・困ったね、どうしようかな〜」


「なに困るようなことあるんですか?」

「こんな可愛い乙女が彼女になりたいって言ってるんですよ」

「私をフったら人生、100年分損しますよ」

「私が嫌いじゃないなら、問題ないじゃないですか?」


「それは、よ〜く分かるんだけどね、正直言うけどほんとは僕、若い女子苦手

なんだな・・・」


「なに言ってるんだすか、周り見渡したら女の子ばっかじゃないですか」

「そんなに若い子がダメならとっくにアナフィラキシーショックで死んでます」

「じゃ〜私を彼女にして、その苦手意識、克服すればいいじゃないですか」


「お〜前向きな意見・・・なるほど・・・理屈だな・・・」


「ミスターが嫌だって言っても、私、絶対諦めませんから・・・」


「冷静かつ前向き&ポジティブ、めげない・・・少々じゃ動じない子だね、君って」

「分かった・・・じゃ〜君の好きにすればいいじゃない?」

「そのうち僕に飽きるから・・・人はいつかは物事に飽きるもんだよ、雨野君」

「夫婦だっていつかはレスになるんだから・・・」


「飽きません・・・それにレスって・・・私とミスターまだエッチすらしてないのに

レスになんかなりません・・・そう言うことで今後は私の好きにさせて頂きます」

「それで・・・あの〜ひとついいでしょうか?」


「衝撃的告白に追い打ちをかけるように、まだなにかあるの?」


「あの私が今住んでるマンションですけど・・・出るんです」


「出る?・・・・あ〜僕のマンションも出るよ」


「え?ミスターんちも出るんですか?」


「夜中に台所に言って電気をつけるとね、壁にへばりついてるの、ゴキが・・・」


「え、ゴキ?・・・」

「違います・・・私のところに出るのは幽霊です・・・毎晩金縛りにあってます」


「幽霊・・・それはまた・・・霊感強いんだね、雨野君」


「だから私、他のマンションに引っ越したいんです」

「で、よかったら図々しいですけどミスターのマンションにお引っ越しさせて

もらってもいいですか?」

「私のぶんのお家賃はちゃんと払いますから」


「え?僕んちへ来るつもり?・・・付き合ってって告った、すぐあとに?」


「ご迷惑でしょうか・・・私、お料理の腕は、まあまあですけど便利ですよ」

「置いといたら重宝しますよ」


「そうなんだ・・あ〜まあ、幽霊が出るってんならしかたないかな・・・それに金縛りは若い乙女には無防備だよね・・・そんな時、泥棒でも入ってきたら・・・しかも性的変質者だったら・・・危険だな、それはいかんな」

「じゃ〜来てみる?僕んち」


そんな理由で私はミスターのマンションへ住みついてしまったの。

実は幽霊が出るなんて、まったくのウソ・・・ミスターと同棲したかっただけ。


少し強引だったけど、私の思惑通りになった。

ミスターはちょっと迷惑そうだったけど、そんなことお構いなしよ、敵の懐に入ってしまえばこっちのもの。

これから私とミスターのスイートラブな物語がはじまって行くの、楽しみ。


つづく。



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