第17話 体育祭前日

――――体育祭前日


――――3年10組の教室


久しぶりだな。この教室来るのも。

教室に入ってびっくりした。

看板が完成していた。

「わあ、すごい♡」

私は思わず叫んだ。

「平松。なかなかのもんだろ(エヘン)」

クラスメートの斎藤が自慢してきた。

つづいて、まりちゃんが、

「でも、大変だったんだよ。」

「結局、私達、1年生3人で描いたんですよ。」

「ホームセンターに紫のペンキ売ってなかったし...」

「そうそう、赤と青いペンキ混ぜても紫にならなくってさ。」

「梶先輩が製造元まで買いに行ってくれたんだよ。」

「梶先輩が?」

私が名前を呼ぶと、そこには、梶先輩がいた。

「愛里ちゃん、久しぶりだね。」

あっ、梶先輩、穏やかな顔だ♡

「僕の力不足で、2年と3年の看板係には、逃げられたんだ。」

笑いながら話す梶先輩。

元気そうでよかった。

学校に来てくれていてよかった。


「平松さん、いつまでもおしゃべりしてないで、こっち、来て。」

浅倉先輩に呼ばれた。

「はい。これ、平松さん用の学生服とタスキと手袋ね。」

高橋先輩も来て、

「俺の中学のときの学生服だ。ありがたく着ろよ。」


高橋先輩の学生服♡

胸がキュンとなったことは、内緒にしておこう。


ん?

今気が付いた!

「高橋先輩は、学ランなんだ!」

「へーえ、へーえ、いまだに、学ランってあるんですね。」

私はからかうように言った。

「紫団の伝統の学ランだよ。」

裏地はきれいな紫だった。

私は笑顔で、

「似合ってますよ♡かこいい♡」

なんか、心なしか高橋先輩が赤くなってた。

かわいいー♡


衣装を配り終わった浅倉先輩がみんなに声をかけた。

「今日は最終練習だから、学生服きて、小松公園でラストまで通しで練習するわよ。」

「おーーーーっ!」


通し練習が終わって、

「いい感じだな。明日もこの調子でがんばろうぜ!」


この日は、早めに練習を終え、明日に備えた。

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