第11話 梶先輩と湖桃先輩

――――次の日学校


――――1年5組


「おはよっ!」

「おはよう、愛里。」

「やよい、昨日はごめんね。ありがとう。」

「高橋先輩に手出してないでしょうね?w」

「何もなかったから安心して」

そう言いながら、顔を見合わせて、ふたりして笑った。

「で、マジな話、愛里は高橋先輩の事、なんとも思ってないの?」

「ずっと、恋路?梶先輩との邪魔されてたからなぁ~」

「最近、ちょっと点数上がってるけど(笑)」

「えーーーーーーーーーーっ!」

「はははっ」

私は笑ってやり過ごした。

「今日、全体朝礼だよね。」

「早く、グラウンド行こ。」

全体朝礼、生徒会長のお話あるんだよね。

梶先輩、大丈夫かな...


――――全体朝礼


『――――体育祭まであと2週間となりましたが...』

梶先輩、いつもと変わらない。

よかった。

ちゃんと生徒会長の顔になってるやん。


――――昼休み


「やよい、3年10組行かない?」

ひとりでいくと、また、抜け駆けしたみたいでいやだから、やよいも誘ってみた。

「いいけど、どうしたの?」

「湖桃先輩のこと気になって...」

「そうなんや...私、ちょっと嫌いだな。湖桃先輩。」

「なんで?」

「なんか、おとなしそうなふりして、媚びてる感じするもん。」

「そうなん?私から見たら、守ってあげたい女性にみえるけどな。」

やよいが嫌そうな顔したから、私は一人で行くことにした。

「じゃ、私一人で行ってくるね。」


――――3年10組


私はそっと中を覗いた。

「平松、こんなとこで何やってるんだ?」

「あっ、高橋先輩。」

「その...湖桃先輩のことが気になって...」

「私なら、大丈夫よ。高橋君が守ってくれてるから」

高橋先輩の後ろから顔を出した湖桃先輩。

昨日のことなんかなかったような湖桃先輩の様子に、ぞっとした。

やよいの言葉が頭をよぎる。

『私、ちょっと嫌いだな。湖桃先輩。』

『なんか、おとなしそうなふりして、媚びてる感じするもん。』

「平松、余計なこと気にしないで、放課後の練習ちゃんとこいよ。」

私は高橋先輩に頭をぐしゃとされた。

その様子を見た湖桃先輩の顔がこわかった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る