「ゼロセクション」
来々
第1話 第零課
東京都港区、午前二時。
深夜の静寂を破るように、黒塗りのセダンが人気のない倉庫街に滑り込んだ。車内から降り立ったのは、公安警察第零課、通称「ゼロセクション」の捜査官・柊隼人(ひいらぎ はやと)。三十歳、公安一課から零課に異動して二年目になる。
彼の任務は、国家の安定を脅かす存在を消し去ること。表向きには存在しないこの部署では、法の枠を超えた手段が許される。
柊はイヤーピースを調整し、腰に巻いたホルスターからSIG SAUER P229を取り出した。彼が追っているのは、ある外国人要人暗殺事件の実行犯。すべての証拠が消されているにもかかわらず、たったひとつ、決定的な痕跡が残っていた。
存在しないはずの「個人情報」。
国家のあらゆるデータベースにも登録されず、監視カメラには映らず、法的にはこの世に存在しない人間。
「……お前は誰だ?」
柊は息を殺し、暗闇に溶け込む。ターゲットは、すぐそこにいるはずだった。
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