第2話 将来は幼馴染と……

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 第2話 将来は幼馴染と……

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 あれから一カ月、今夜も俺は魔力を使い切ってから寝る。

 一、二、三……十、十一……十五、十六、十七。

 ここで気分が悪くなったので、気合いで魔力を絞り出す。


 気づいただろうか? そう、魔力の放出時間がわずかだが伸びているのだ。

 どうやら俺は正解を引き当てたようだ。

 気分が悪くなっても魔力放出を続けることで、魔力量が増えるのだ。

 それと何度も意識を失っていると、それも起こらなくなってきた。

 今は魔力がすっからかんになるのを感じるようになり、副産物として他人の魔力も感じられるようになった。

 近くにいる人が魔法を使うと、目を閉じていても分かるのだ。




 さらに月日が経過し、夏の盛りの時期になった。

 ただでさえ暑いのに、鍛冶工房はサウナ状態だ。

 そんな鍛冶工房では、祖父、父、長兄、次兄の四人が鉄を鍛えている。

 金槌の小気味よい音を聞きながら、俺は薪になる枯れ枝を家の中に運び込んだ。


 この初夏に長女のシュラーマは村長の息子のトルクに嫁入りした。

 同じ村にいるので、顔を合すこともある。

 トルクはそのうち村長を継ぐことになり、所謂玉の輿だ。

 長女シュラーマは容姿はそこそこだが、気立てはよいし母ノーシュに似て気っ風がいい。そこにトルクは惚れたようだ。


 村長もやや気弱なトルクには、シュラーマのようなしっかりとした女房がいいと言っていた。


「薪はもういいから、遊んでおいで」

「ほーい」


 母から遊びにいっていいと許可が下りた。

 中身が三十のオッサンなので微妙なところだが、弟のマルダを連れて村の中を歩く。

 強い日差しから身を守る麦わら帽子を被った俺たち兄弟は、河原に出た。


「いいか、深いところにいったらダメだからな」

「あーい」


 弟のマルダと浅瀬で水遊びをする。

 深いところはあまりないので、危険は少ない。

 それでも弟から目を離さないように足を川に浸けて涼む。


「ノイス!」


 俺の名を呼んだのは、同じ年のクラリッサだ。

 村に一軒しかない商店の三女で、赤茶色の髪をした愛らしい顔の少女である。

 俺はロリコンではないが、幼馴染属性は大好物だ。

 クラリッサは将来美人になると思うので、今のうちから唾をつけておきたい。


「やあ、クラリッサ。君も川遊び?」

「うん。今日も暑いよね」

「本当だね」


 彼女は俺の横に腰かけ、足を川の水につけた。


「冷たーい」

「うん。冷たいね」


 彼女は帽子を被ってなかったので、俺の麦わら帽子を被せてあげた。


「いいの?」

「ああ、また作るからいいよ」


 麦わら帽子は俺のお手製である。

 手先の器用さは、前世から引き継いでいるようだ。


「マルダ。それ以上奥へいくなよ」

「あーい」


 キャッキャ言いながら川の水で遊ぶマルダに注意を促し、俺はクラリッサとお喋りをする。

 なんでもない日常のことをクラリッサは楽しそうに喋る。

 お喋りが好きなのは、うちの女性陣たちと変わりないな。


「でね、アッカスさんがうちの店でポーションを買っていったの。そのポーションをナイネンさんが作ったと知っているのよ」


 要約すると、ナイネンさんに惚れているアッカスさんが、彼女の作ったポーションを何本も購入していった、というものだ。

 ポーションというのは、ちょっとした傷なら瞬時に治してしまう薬になる。


 たまに森の中で薬草を見つけると、採取してナイネンさんのところに持っていく。そしたら、いくばくかの駄賃がもらえるのだ。


 ナイネンさんは三十歳くらいの女性で、夫とは死に分かれている。

 子供は二人いて、長男はうちのモルダン(長兄)と同じ年齢なのでそろそろ独り立ちの時期だ。


 アッカスさんは三十五歳くらいの農夫だ。

 若い頃にこの村にやってきて、開墾した畑で作物を育てている。

 俺が知る限り、妻がいたことはない。


「農家のアッカスさんはポーションを使うことなんて滅多にないのにね」

「そうだね、アハハハ」


 俺は相槌を打ち、軽やかに笑う。

 おっと、マルダが奥へいこうとしている。止めなければ。


「マルダ。奥はダメだぞ」


 さっと移動し、マルダを抱き上げる。


「だー」

「こっちで遊ぼうな」

「うー」


 マルダを抱きかかえてクラリッサが座っている辺りまで戻る。


「マルダちゃん。お姉ちゃんと遊ぼうか」

「はーい」


 いい返事をしたマルダが水をバチャバチャとクラリッサにかけた。


「キャッ、やったわねー」

「キャッキャキャッキャ」


 二人は水をかけあい、その水が俺にもかかる。


「おい、止めろよ。ちょと、待つんだ!」


 いつの間にか二人して俺に水をかけていた。

 こうなったら俺も応戦だ!


「キャーッ冷たい」

「ウキャキャキャ」

「アハハハ。負けないぞ!」


 三人でずぶ濡れになった。

 夏だからクラリッサは薄着で、ワンピース一枚しか着ていない。そのワンピースが透けて青い果実が見えるんですが……。

 俺はロリコンじゃない……俺はロリコンじゃない……煩悩退散、煩悩退散。


 ずぶ濡れになっても、すぐに乾くのがこの季節のいいところだ。


「クラリッサ、またね」

「うん。またね、二人とも」

「あーい」


 タタタッと駆けていくクラリッサの頭には、俺の麦わら帽子がある。

 これくらいの先行投資で将来の幼馴染ラブが手に入るなら安いものだ。フフフ。


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