寿司好きのおじさん(自称)、魔王の心を掴む。〜ジョブ『寿司職人』は異世界最強だったかもしれない〜

赤海 梓

第1話 寿司好きのおじさん

 俺は佐藤さとう 簀巻すまき。ただのサラリーマンだ。これといって大きな特徴は無い。寿司が大好きで、3度の飯より寿司が好きなんだ。

 …ボケだから笑っていいんだぞ?

 そんな俺は彼女も出来ないまま28年間ずーっと寂しく暮らしている。


「あーっ、なんかどっかに美しい着物を着た寿司でも現れてくんねえかなぁ」


 と、そんな事を呟いていた。

 そんな俺は今日、5月7日で28歳になったんだ。もうそろそろ極限を極めるアラサーになっちまうな。

 というわけで俺は今日、行きつけの寿司屋に足を運ぼうと思って、夜の8時に仕事帰りのスーツのまま、寿司屋に向かっているんだ。


「へっ、28にもなって、1人で寿司屋とはねぇ…。悲しいったらありゃしないね、ほんとによ」


 こんな感じで自己否定的な考えをしつつも、これから寿司ちゃんと会うって考えると、ワクワクしすぎてそんなちっぽけな悩みなんかぜーんぶどっかにすっ飛んでいってまった。


 っと着いた。ここが俺の行きつけの寿司屋「笹前鮨」だ。


「大将!来たよ!」


「へいらっしゃい!って、簀巻かい!」


 このベンチプレス500kgでも持てそうなほどゴツイ身体をしているここの大将は大塚おおつか 尓岐流にぎる、寿司を握る腕前が半端じゃないんだ。まあ見た目はゴツイが顔は可愛いオッサンで、今年で42になるとかなんとか言ってたか?というなんともThe寿司職人ってやつなんだ。ちなみにベンチプレスは15kgを両手で持ち上げれるかどうかというこの無駄なギャップ。


「よく来てくれたな!聞いたぜ~?今日28の誕生日なんだってな?そう言えば祝った事ねえなって思ったら今日だって昨日知った時、めっちゃびっくりしたんだぜ?」


「あぁ、すまないね。自分から誕生日を教えるのは性にあわなくてねぇ」


「へぇ、ここの常連になって20年経つってのに、陰気臭えじゃねえかよ!」


「いや本当に悪いって。でもそんな情報一体誰から聞いたんだい?俺多分ここ数年は自分の誕生日口に出した事ないんだけどな…?」


「え?あんた、お嬢ちゃんに教えたんじゃないのかい?」


「え?あの子?いや言ったこと無いけどな…」


「いや違くて!!」


「うおっ!ビックリしたぁ!なんだいたのかしおちゃん」


 彼女は桜ヶ丘さくらがおか しお。この店に数年前からよく通う様になった子だ。見た目は若くて、本人が言うには23歳なんだとか。とにかくこの店の俺に続くレベルの古株で、よく3人でこの店で話している。歳が離れているってのに友情を結びつけるんだから本当に凄いよな、寿司って。


「えっとあのその、そう!この前運転免許証落としてて、丁度簀巻さんがトイレに行ったタイミングで財布に戻させて頂いて!その時にたまたま、たーまたま!!チラァッと見えちゃっただけで!それだけで!決してこっそり抜き出したとかではなく!ホントに!」


「長い長い」


「えっとその!だから!」


「お嬢ちゃん…」


「しおちゃん…」


「(え?なんで2人ともこんな冷たい目してるの?もしかして嘘がバレちゃった!?有り得るよね、こんなテンパってるんだし…)」


「しおちゃん、寿司屋であんまトイレとか言わないで欲しいな…」


「え、あぁっ、すっすいません!動揺しちゃって…(あぶなぁぁい!よかった、全然バレてなかった…)」


「?」


 この子はたまに挙動がおかしくなる事があるんだ。何なのだろうね?


「(びっくりした…びっくりしたよぉ…)えっとその、とりあえず、注文しちゃいません?」


「おう!任せな2人とも!今日は簀巻のために、とびっきりのネタとシャリ用意してきたんだ!ゆっくり食ってけや!」


「おお!シャリまで!?」


「ああ。今日は俺のこだわり、あきたこまちの中から更に!上質なもん選んできたんだぜ!」


「シャリによって寿司の出来にそこまで差ができるものなんですか?」


「ああ!まあ単純に経験上による米の硬さや形による感覚ってのもあるがな?なによりあきたこまちは冷めても柔らかいんだ!これは寿司においての最高のメリットといえるだろ?そして広がる芳醇な甘み…僅かに口に残る弾力…堪んないね!」


「わかる。めっちゃわかる」


「アハハ…2人とも、寿司のことになると目がピカピカしますよね…ホントに…」


「まあな。寿司っていうのは日本の伝統だからな。これ程までに素晴らしい芸術は無いと個人的には断言できるよ」


「そうだ簀巻!今度のお盆空いてるか?」


「どうしたんだいきなり?彼女いないから空いてないわけが無いだろ?なんだ?嫌味か?」


「すまんすまん!違くてだな…。今年のお盆休み、たまには秋田に言ってみねえか?って思ってだな!」


「え?大将の故郷の?」


「ああそうだ!秋田は良いぞー?すんげえ劇団が個人的に1番オススメだがな、なまはげの迫力がすげえんだよ!映像で知ってる?甘い甘い!あの吐息がかかるような感覚…今でもゾクッて来るぜ…その他にもな


「はいはい、分かったって。全く、大将はすーぐ秋田県語りすんだから… 。そんなんじゃいつまで経っても彼女できないぜ?」


「なんだと!?お互い様だろそれはぁ!」


「はいはい喧嘩しないでください!…というか、なんでそんなに秋田愛が強いのに札幌に来ちゃったんですか?」


「旅行で来た時のここの寿司屋の味が忘れられなくてな…。今でもあの味が思い出せねえんだ…北海道名産のなんとかって言ってた気がするが…よくわからねえや…」


「北海道名産?なんだその魚?ししゃもか?」


「冗談はよしてくれよ、…ってししゃもって本ししゃもの事かい」


「本ししゃも?」


「ああ。主にむかわの辺りで取れるししゃもだ。市場のししゃもは樺太ししゃもって言って、代用品なんだぞ?本ししゃもは別格だよ」


「ふーん、そうなんですねー」


「でも知ってるってことはやっぱり違ったか?」


「ああ。ここの店は俺が旅行で来た時の店ってのはこの前話したと思うが、その時ここで食ったのは、もっと上品でかつ脂がドッシリと乗った、あれはもうホントに美味くて美味くて…」


「上品…かつ脂が…ねぇ?」


「それ、ハッカクってやつじゃないですか?」


「ハッカク…かい?嬢ちゃん、なんだい?そのハッカクってのは?」


「私も食べた事はありませんが、小樽の辺りで獲れる魚だそうです」


「あー!ハッカクか!確かにアイツならその通りかもしれん!」


「へぇ…ハッカクねぇ…今度ちょっくら小樽に行ってみるか!っとそうだ、準備が大変長くなっちまいましたが、寿司、いつでもいけますぜ!ご注文をお願いしゃす!」


「お!待ってましたよー!」


「はい!楽しみです!私は簀巻さんと常に同じもので大丈夫です!」


「ん?そうか?じゃあ俺も大将に任せちゃおっかな。というわけでおまかせだ!いけるかい?」


「へいおまかせお預かりいやしたぁ!では握っていきますぜ!」


 ここの寿司の握りは実に素晴らしい。ただ美味い材料をくっつけただけじゃない技術だ。

 一貫目、なんだあれは?イカか?いいね。イカは大好物だ。まあ寿司全般がが大好物だからイカも好きってだけだが。


「まだまだ、今日はお客さんが2名様のみなのでね。贅沢にいきますぜ?」


 ヒュッヒュッヒュッヒュッ


「おお大将!これはまさか!?」


「ええ、鹿乃子包丁でさぁ」


「鹿乃子包丁?」


「しおちゃん、よく見とけよ。この鹿乃子包丁ってのはな、ほんっとうに難しい技術なんだ。イカに斜めの切り込みを何重にも均等に入れる、つまり隠し包丁だ。そして最後は湯霜造りにする。そして表面が浮き出てきて…見るんだ」


 ジャアァァァ…

 バチ…パツッ、ツッ


 イカの切れ目が浮き出てくる。イカの身一枚に入れた隠し包丁のおかげでその模様は均等で。そう、まるで


「鹿の子供の背中模様、それが名前の由来と考えられてるんだ」


「わぁぁ…綺麗…」


「鹿乃子包丁の素晴らしいところは見た目以外に2つあるんだ」


「そんなに?」


「へへっ、やっぱり簀巻さんは流石の知識でさぁ」


「確かに、寿司職人になれそうですよね?」


「まあ一応いつでも店を開ける状況ではあるしな。調理師免許だって持ってる」


「へぇ」


 ちなみに尓岐流の口調が変わってるのは、大将は寿司を握ると性格が変わるんだ。そんなハンドルみたいな…っていうしおちゃんの反応は面白かったね。

 そして2つの鹿乃子包丁入りのイカの種が2つ完成したところで、握りの段階に入る。


「改めて見てみろよ、大将の技術を。日本有数と言っても過言じゃないこの手捌き、美しいからさ」


「はい…」


 左手の種、右手のシャリ、それを組み合わせたかと思うとひっくり返す。そして2,3度手首を回したかと思うと、寿司の形が完成する。


「確かに、この手捌きはその辺のとは段違いの速さ…」


「早く握る事で種もダレない。ただ見た目が美しいだけじゃないんだ」


「はいよぉ、お客さんお待ちぃ!こちらアオリイカの鹿乃子細工寿司でぇす!」


「おっ来たね。じゃあ、早速頂かせてもらおうか?」


「はい!では、いただきまーす」


「いただきます」


 そして箸で寿司をつまみ、醤油につける。シャリを崩さないように、細心の注意を払う。どちらもミスをすれば寿司の味が半減する。だがこの寿司なら…?


「あっ、すごく醤油がつけやすいですね。これが1つ目の素晴らしいところですか?」


「そうさ。崩れやすい寿司は醤油をつけるのも一苦労だ。でもこの染み込みやすい寿司なら…?」


「そうですね!すごくスマートに食べられます!」


「では食べてみようか」


 パクッ

 サクッ、サクッ


「~~~~~!」


「これは…流石の腕じゃないか大将…!」


 素晴らしい出来栄えだ…!あれほど細工をしてあるというのに、やはり手の熱でダレたりしていない!しかもこの味!恐らくとてつもない新鮮なアオリイカを用意してくれたのだろう…!いや、ここまで身がサクサクするという事は…!?


 ゴクンッ


「大将!あんたこれ自分で釣ってきたのか!?」


「ええ!お客さんには今日最高の一品を提供したくて、最高品質をお届けしていやすぜ!」


「なるほど…!漁で獲るよりも俄然身の痛み具合が違う、というよりも全くと言って良いほどに傷んでいない!そして…」


「なんですかこれ!?イカなのにサクサクしてて!素材だけじゃないですよね?めちゃくちゃ美味しいです!!」


「そうだ!これが鹿乃子包丁の最高の利点、イカの繊維を細かく刻める点にあるんだ!」


「そっかぁ…!実はアオリイカってねちょねちょしてて、あまり好きじゃなかったんです…。内心、初手がそれかぁ…とか思ってたんですけど、これは全然違いますね!」


「お、イカの魅力に気が付けるなんて、いい舌を持ってるじゃないか」


「えへへ、昔から良いものばっかり食べさせられてきたので…って私の話はどうでもいいです!大将さん!次もお願いします!」


「あいよぉ!じゃあ次はコイツだ!」


 ああ、幸せだ。寿司はやはり人を笑顔にさせる。美味い寿司を食うほど、人の口は饒舌になる。

 そして五感という五感が、脳内のアドレナリンを刺激するようだ…とてつもなく興奮する…。これが日本の伝統、寿司だ。



「大将!次も美味いもの頼むよ!」



 そんなこんなで俺の誕生日を祝ってくれるおまかせ寿司は最高の時間となったのだ。



「あー、美味しかったですね!」


「ああ、そうだな。大将、会計だ」


 そして席を立ち、出入り口近くのカウンターに向かうが、


「おっと簀巻、今日はもう帰ってもらって大丈夫だぜ?安心しな、嬢ちゃんの分も含めて、俺が奢ってやらぁ!」


「えっ!本当ですか!?じゃあ…お言葉に甘えて、お願いします!」


「ありがたいよ大将。じゃあ遠慮なく、ごちそうさまでした」


「ごちそうさまでした!」


「ああ!また来てくれよな!」


「言わなくても来るさ」


「へっへっへ、そりゃそうか!」


 そうして店を後にしようとしたが、大将に止められる。


「あっとそうだ!簀巻、あんた結局秋田来ようと思うかい?」


「ん?ああ、そうだったな。せっかく誘われたんだ。その誘い、乗らせてもらうよ。お盆休み、全然全くもって暇だからな」


「本当かい簀巻!ぼっちは悲しいな!ん?おっとそうだ!せっかくなら嬢ちゃんも来ないかい!お盆休み忙しくなきゃ、一緒に来てくれや!」


「お、いいなそれ。どうだ、しおちゃん?秋田に一緒に行くか?」


「へっ!?えっあっと、あ?あっ、えっとえっと」


「ん?予定があるのか?なら仕方がない。俺と大将の2人で行


「いけます!!全っっっ然!行けます!!!!」


「おっ、おう。そうか?」


「うっし決まりだ!俺と簀巻と嬢ちゃんの3人でお盆休み、秋田旅行だ!」


「はい!とっても楽しみです!」


 そしてお盆の予定決めも終わり、帰路に着く。しおちゃんは俺と途中まで同じ帰路のようで、ここに来た時は毎日一緒に帰っている。


「ふぅ、今日の寿司は一段と美味かったなぁ。やっぱり惜しみなく使われた大将の腕は流石だよ」


「…簀巻さん、簀巻さんは、お寿司を握らないんですか?その気になればお店を開けられるって言ってましたし…」


「ん?ああ、確かに自分の店なら開けるし、トラウマがあって握らないとかじゃないんだ。ただ、大将のあの味が…俺の理想としている寿司そのものなんだよ。だから、俺が握る必要はないんだ」


「そんなことないですよ。最低限、私は簀巻さんのお寿司、食べてみたいと思いますよ?それに私、大将から聞きました。簀巻さんは多分日本一の技術を持ってるって。年若いやつなのに、その腕前は素晴らしいものなんだって。それなのに、なんで自分でお寿司を作らないんですか?」


「年若いって…俺はもう充分おじさんだよ。」


「20代なのに何言ってるんですか…」


「いや、技術や感覚が研ぎ澄まされてるのは自称しよう。物心ついた時から寿司を握っていたんだ。日本、いや世界を見たとして、この点で俺に勝るやつはいないと思う。これは自信過剰なんてものではないと思う。でもね、しおちゃん。俺は料理職人…いや、寿司職人にとって1番欠けているものがあるのさ」


「それは?」


「お客さんに対する真心だよ。美味いもんを食ってもらおうっていうね。俺は内心どこかで、技術を見せびらかすためだけに寿司を握っているように感じたんだ。自分の寿司は誇れたものじゃないって気がついたのは、大将の寿司を食った時だな。あのお客さんに向ける暖かい眼差し、体調に合わせておまかせでもネタにも気をつけて選んでくれる。寿司の「心」を、彼は持っているんだ」


「寿司の「心」…ですか」


「ああ。だから大将の寿司は一級品なんだよ」


「ふーん…」


「あまってしおちゃん、まだ赤信号だから渡っちゃ…」


 ブゥゥゥゥゥゥ!!


 まっじか!!?このタイミングで大型トラックかよ!!まずい、あのトラック、ライトつけてねえじゃねえか!!そのせいで気が付かなかった…!しかもまだしおちゃんは気がついてない!?待て待て、あのままじゃ轢かれちまう!!まずいまずいどうにか…どうにかしなければ!!


「しおちゃん!そこをどけ!!」


「え?」


 バカバカバカバカ!居眠り運転か?あのトラック!!いや違う、そんなことは今どうでもいい!早く道路から歩道へ!

 そして俺は赤信号の横断歩道へ走って向かったのだが…


 ダメだ、この距離感、手を引いても意味がないぞ…?確実に遅くなる…2人とも轢かれる…。いや、なら、こんなおじさんより優先すべき命があんだろうが!


「気合い入れろ佐藤簀巻ぃぃぃぃぃい!!!」


 ドンッ


「す、簀巻さん…?」


「よかった、間に合っ



 ドシャァッ



「!!?!?!?!???!!」


 間一髪しおちゃんだけでも助けられたものの、自分はトラックにはねられてしまった。恐らく5~10mほど吹っ飛ばされた感覚だ。トラックはそのまま轢き逃げか…。でも…しおちゃんが無事で、良かった…。


「あっ…あ、あぁぁ…」


「しお…ちゃん?申し訳ないね…。こんな、人1人満足に救えない…おじさんで、すまなかったね…」


「そ…そんな事ないですから…しゃ、喋らないでくださいよ…。血が、血が出ますから…。いっ、今!救急車!救急車、呼びますからね!だから、そんな、最後の言葉みたいな事、言わないでください…よぉ…」


「いや、しおちゃん?自分の身体のことは…自分が1番…よくわかってるってある…だろ?あれって本当…だったんだな?わかるよ…俺は今日…多分ここで死ぬんだ…。だがいくつか伝えたい…ことがある…んだ…」


「…こめんな…ごめんなさいっ…私の…不注意がぁっ…」


「大丈夫さ…、もう過ぎた事…だ。次からは、気をつけろよ…?」


「うっ、あっ、ああっ…」


「しおちゃん、あんたは未来が…あるんだ。絶対に…自殺なんかしようとは…思うなよ…?」


「え…?なんでそれを…?」


「おじさんの…勘だよ…。それに数年も一緒にいる…からね?君が…俺に惚れてること…だって、お見通し…だよ?」


「すっ、簀巻さんっ…」


「しおちゃんは、これからの…未来のために…一生懸命…物心を取り組んでさ…たまーに、大将に愚痴るんだ…ぞ?それ…から…、大将に…これだけは言ってくれるか…?」


「っ、はいっ…」


「あんたの寿司は…本物だよ…って…な…」


 そして俺は気力が無くなり、目を閉じるしかなくなる。


「簀巻さんっ…?簀巻さんっ…簀巻さん…私は…ずっと簀巻さんの事が…大好きでした…。簀巻さんの、おかげで、お寿司が大好きになって…。大将とも…なかよくなって…それで、それで……あぁぁぁぁあぁぁああぁぁあああ!!簀巻きさぁぁぁぁぁぁああぁぁあぁあぁぁぁん!!」



 …あぁ、女の子を泣かせるなんて最低だよ、俺は。でもいいんだ。しおちゃんが俺の命1つで救われたんだから。安いもんさ。こんなの。

 にしても、死んだら寿司が食えないのか…。キツイな、これは。



 …悪いね、しおちゃん、大将。

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