第11話 教えてフランソワ

「フランソワ~、さゆ起きないからさ

ダンジョンの扉のとこで質問に答えて欲しいんだけどいい?」


「わんっ」


「じゃ、準備するから待っててね~」


動きやすい服に着替えて、コートを羽織り

一服してからフランソワにリードを付ける

ちょっと不服そうなフランソワに周りの目があるから後で外すからね

と小さく声をかけ散歩にでも行く風を装い

家の横を通って車庫の方に向かう


この借りてるお家は平屋で4LDKウッドデッキ付きウッドデッキは南の方角

同じくそっち側には小型のホイールローダーの入っている車庫

車庫の隣には畑が広がっている

ちなみに家の向こうも畑である、大家さんの家もそっち側

玄関は公道側に面していて

聡さんの乗る車は家の玄関横に普通の車庫があるのでそっちに入っている。

普通とはいえ、大型のワゴンすら入りそうなサイズなのでうちの軽を入れても

恰好はつかない。

広くて大変使いやすいですが(笑)

因みに、聡さんはシボレーアストロを将来入れたいと呟いていたのだった。

かなみは車のことはわからないのでお金持ちになったらいいよ~と軽く返答していた。

昔乗ってたことがあるらしい

そして、大家さんの家は区画の角のあたりなのでうちとは玄関の向きも違うので外に出たらこんにちは状態にはならない素晴らしくプライバシーの守られた作りだ

お子さんを大事にしている大家さんの性格を表してると言えよう。

敷地的には大家さんの土地に建っているがきちんと塀もあるのだ。

親として尊敬だ。

ただ、かなみ自身は嫁に行った紗友里と敷地内同居であってもするつもりは全くないので同じ状況にはならないな~

でも、あいつは結婚しないだろうな~

聡さん絶対嫁に出さなそうだな~とか好きな人できるといいなぁ~などとぼーっと考えながらあるくのだった。


車庫についたら、扉の取っ手に触れ質問タイムだ。


「では、フランソワ教えて

前に誠さんと一緒に来ていた時と同じ?あの木がいっぱい生えてる感じとか」


“主よ!誠と来る時、まずここからは入らなかったのだ。”


「え?ここに扉ついてわけじゃないの?ってそっかここ大家さんの家だった…」


“前はあっちの家の中に扉があったのだ。”


「え?家の中にあったの?便利ね~

で、中の世界は一緒?」


“う~ん、全く同じかはわからないな。

でも木が生えていて、ゴブリンと角ネズミ、スライムが出るのは同じなのだ。”


「じゃあ、中はあの木がいっぱい以外の場所?上とか下とか移動する場所はあった?」


“あったのだ。下に行く階段があったのだ”


「中で誠さん以外に人に会ったことある?」


“…あるのだ。”


「え?なんでそんな言いずらそうなのよ。」


“あれは、随分下の方まで行った時なのだ。

ある程度あちこち行くようになったら上に行ったり下に行ったりセーフティーゾーンの近くに光る模様からならあちこち行けるようになっていたから何階に居たのかわからないのだ。

誠も私もボロボロで次に強い敵に会ったらもうヤバいってなってて…。

セーフティゾーンと呼ばれる場所へ行くと、ここの出口近くに移動、誠はワープって呼んでたのができるから頑張ろうと言っていたんだ。

そこのセーフティゾーンで同じくボロボロになった人達に会ったことがある。

言葉は全く通じなくて困っているようで怪我人もいたんだ、誠はポーションを分けてあげたんだ。

頭を下げていたからお礼を言っていたんだと思う。

誠とその人たちは協力しようみたいな雰囲気だったんだが皆ボロボロだったから戻って大勢を立て直してからもう一度となったのだろう

私と誠はセーフティゾーンから出ようとすると扉の前に来てしまうであろう?

そこについたら何故か誠は居なかったのだ…

誠は……”


「フランソワ、悲しい思い出なんだね。話してくれてありがとう。」


悲し気なフランソワをよしよしと撫でて


“主よ、扉の向こうに行くと元気になるのだ”


「調子に乗らないでくださいませ。

紗友里がそろそろ起きるから一回戻るか一度散歩に行くか、畑走って来るか決めて。」


“主は冷たいのだ。”


「聡さんにフランソワが無理を言うって伝えようか?」


“冗談なのだ、言わないで欲しいのだ。聡殿は怒ると怒られる前からめちゃくちゃ怖いのだ、生命の危機を感じるのだ。”


「そう?フランソワにそんな怒ったことあったっけ?」


“前に変な奴が来た時に怒った顔をした時にはちびるかと思ったのだ。最初の頃…ダメだと言われたであろう、あの時の顔…。”


「ん?まだここに住む前かな?家の周り確認に来た時

警察に職質されたのかと思った時でしょ?

あれは、たまたま知り合いの元後輩さんが挨拶に来ただけよ。

職質されたみたいになったからちょっとイラっとしてたみたいだけど。(笑)

あれは面白かった。」


“主、あれを面白いなどとは怖い物知らずにもほどがあるのだ

あの目で睨まれたら間違いなくちびる自信があるのだ。”


そう、聡さんはぱっちり二重で鼻筋が通っていて髪型はスパイキーヘアというのだろうか

昔の某アイドルのドラムの人のような髪型を白髪交じりにした感じ

背筋はピンとしていて悠然と歩く感じだ

かなみは最初歩く姿をみてライオンみたいな人だなと思った。

それか恐竜、もちろん恐竜なんて見たことないのだが

なぜか強そうなのに穏やかで絶対王者みたいな風格を感じたのだ


そんな話をしながら一応先に紗友里が起きてるか確認したいというフランソワの為一度家に戻ることにした。

紗友里の行動次第で散歩かダンジョンを決めるそうだ。

家に戻る次いでに夜ご飯に肉を溶かすのを忘れたかなみは

ついでにそっちの準備もしようとこころに誓うのだった。


「最近忘れっぽいのよね、過去のことは結構覚えてるのにやらなきゃいけないことはすぐ忘れるのよ…。」


悲しい年ごろのかなみだった

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