おまけ話
可愛らしいピンク色のドレスを身にまとった女性と、その女性をエスコートしている男性の姿を見つめていると、ルカがふと私に話しかけてきた。
「どうしたの?あの恋人達が気になるの?」
私は少し驚いて、顔が赤くなりながら答える。
「へ?え、と、とても仲良くしてて、大人になったら私もいつか手を握ってデートができるかな?」
その言葉を聞いたルカの顔が、みるみる真っ赤になり、目を大きく見開いて叫ぶ。
「え、何、それ、ぼ、僕はデートなんて…可愛い妹が!デートだなんて!!」
そして、ルカは顔を真っ赤にしたまま、どこかへと走り去っていった。私はその後ろ姿を呆然と見送りながら、しばらく動けなかった。
「ルカ様はどうしたのですか?」
その時、ソル君が静かに私に尋ねた。私は少し戸惑いながら、先程のルカとのやりとりを説明すると、ソル君は大きなため息をついて肩をすくめた。
「あの方はまったく…探しましょう」
「う、うん」
私はその言葉に従って、ルカを探し始めた。何だかすごくいじけている様子だったから、見つけたらきっとまた恥ずかしがっているだろうなと思いながら、二人で必死に辺りを探した。
その時、不意に屋台のおじさんがフワフワとした不思議なものを売っているのを見つけた。空気を含んだ柔らかい姿に、思わず目が惹かれた。
「ソ、ソル君、あれはなあに?」
私はその食べものに興味津々で尋ねた。ソル君は優しく微笑んで答えてくれる。
「綿飴ですね。食べますか?」
その言葉に、私は少し照れくさそうにうなずいた。ソル君は綿飴を買ってくれ、私の手にそのふわふわの甘いお菓子を差し出してくれる。私はそれを受け取ると、ふわっと広がる甘い香りに心が少しだけ軽くなった気がした。
「ありがとう、ソル君もどうぞ」
私は手に持っていた綿飴を差し出しだすと、
ソル君はしばらく私を見つめていたが、やがて軽く息をついて、そっと手を伸ばす。
「……あの、自分で食べれます」
あ、そっか。確かにこれは違うよね!私はただふふっと笑う。
「へへ、でも、おとなのデートみたいだね」
その言葉を聞いたソル君は、ほんの少しだけ眉をひそめたが、何も言わずに黙って綿飴を一口食べた。
「……」
ソル君は言葉を発しなかったけれど、その静かな態度に、どこか大人びた雰囲気を感じて、心の中で一瞬だけ……ちょっとだけドキッとしちゃった。
「えと、いつか私も綺麗なお洋服を着て、大好きな人とデートがしたいな」
「えぇ、ルナ様ならできますよ」
「うん、ありがとう」
私とソル君が綿飴を食べ終わった頃、ルカは焦りながら
「デートのときは、もちろん!兄である僕付きになるからね」と騒いでいた。
そうだな、今は……
「うん、ルカ兄と沢山デートがしたいな」
そう私は微笑む。
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