第11話 學校と公苑と 1

 ボールが教室にあふれかえる位、戻って来てから数日後。

 休日の僕の家で。

『エー。』とお母さんはニヤニヤしながら、『フーン、へ~。』と言いながら『お母さん、お赤飯炊こうかしら。』と。

『ハイー。何言ってるのですか。』と、僕は変な普段使わない言葉が出た。

『女の子三人もねー。』とニヤニヤが止まらないお母さん。

『もうやめてー』と言いたいくらいだった。


 と言うのも、園芸部の活動の事で、休みの日に、僕の家でミーティングをしようと、この前のクラブ活動の終わりに、なぜかそんな風に女子が盛り上がってしまい、強制的に集合となってしまった。


 モモちゃん先生が、最初に来て、松根さん、百合川さん、宮竹さんが一緒に家のインターホンを鳴らした。

『こんにちはー。お邪魔しまーす。』と言って、ぼくの部屋に入る前に、三人が一緒になって、僕のお母さんに挨拶するからと言って、手に持っていた、紙袋を渡しながら、『お世話になります。』と言っていた。

 中身は、クッキーだった。

 何だか、それを見てると、まるで大人の人が挨拶するみたい。

 と、思いながら見ていた。


 で、お母さんが、『お赤飯炊こうかしら』って言ったのは、この事があったから。

『しっかりした、娘さん達ねー』とかなんとか言いながら、お茶を出す用意をしていた。

 それを見ながら、みんなを、部屋に案内するのに、先にモモちゃん先生がいる、僕の部屋に案内した。


『さて、今後園芸部として、どんな活動をしていくか、みんなで決めましょう。』とモモちゃん先生が会議の口火を切った。


 それまでは、女子のみんなは僕の部屋のあちこちを、男子の部屋が珍しいのか、本当に、あちこち探索し出したものだから、『あんまり、触らないで。』と言っても、本棚とか、飾ってある表彰とか、記念のサッカーボールとか、サッカークラブの記念写真とか、なんだかんだと、みんな興味があるみたいで、『これ、なあに。』とか、『これは?』とかガサガサ、触り出したものだから、一々説明していると、あっという間に時間がすぎて、やっとミーティングを開始したのが、一時間も経ってからだった。


 そうこうしていたら、お母さんがお茶と、お菓子を持ってきてくれた。


 ところが、カップの数を見てみると、六つもあったので、『カップが一つ多いよ。』と、お母さんに言うと、『あら、六人じゃなかったっけ。』と言いながら、目線を、僕の机の方にむけた。


『えっ。』と机の方を見ると、ノートパソコンのキーボードをカタカタ叩いている、佐保姫がそこにいた。

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