第8話 ボールと、さがしもの 3
『梅の花をあしらった着物の女の人は梅の精、桜の花でできた髪飾りを付けている女の人は桜の精』、
『わらわが、そなたたちの前に、姿をみせることが出来た事と同じ。和歌の思いが、彼女達を呼び寄せたの。』と続けた。
そして『モモちゃん先生、
『エッ、どういうこと。』僕は、
『確か、十数年前モモちゃん先生と、
『卒業式の実行委員で、一緒に活動していた。』
桜の精は言った。
『その、委員会で、みんなでタイムカプセルを埋めることになった。』
梅の精は続けて言った。
『タイムカプセルって、何?』
僕が聞くと。
『思い出の品物、写真、未来の自分に
いつの間にか、
『私のお父さんが音楽学校で、卒業記念演奏を録音した、CDとかをタイムカプセルに入れて埋めたって言ってた。それと同じ。』
続けて、『その時の、様子がアーカイブでテレビニュースに流れるほどだったの。』と小さい声で言っていた。
同時に校舎の間から、体育館裏、つまりこの花壇に休みなのに百合川さんと宮竹さんがやってきた。
『今日、
『松根さんのお父さん、世界的に有名な指揮者だったわね、だからよね、ニュースになる位だもの。』
と言った。
僕は、『あ。聞いてたんだ。』と思わず口に出しちゃったものだから。
百合川さんがこっちを、ズイっと見て。ニッて笑った。
エッ何。僕は声を出さず思っていたら。
『やっぱり、
『私も
モモちゃん先生は『その通り、今度、同窓会があるから当時の実行委員の私たち二人がその同窓会までに掘り出せるように探してたの。』
僕は『じゃあそのタイムカプセルを探してたのは。』と
『そう、桜の精さんと、梅の精さんがいう通り、卒業式の時、何年後かに掘り出してみんなで同窓会をしようと約束したの。』
『でも桜か、梅の木かどこの木の下埋めたか分からなくなってしまい、私たち二人が記憶を頼りにそれらしいところを探して回ったの。』
『でも
『そこで、同窓会の日にちが迫る中、
『そうね、前にも言ったように、学校って一種のパワースポットって言ったわね、その中でも
『つまり、グラウンドでしている、サッカー、ドッジボール、野球や、ソフトボールが木の枝によく当たっていて、そしてよく折れているらしいわ。そなたたちは特に当てたくて当てているわけではないけれど、そこに桜の妖精と、梅の妖精は、自分たちの身の危険を常々感じていたらしいの。』桜の精と梅の精の近くに寄り添いながら。
『それが、タイムカプセルのパワーと、桜と、梅の精の危険から、逃れようとする思いの
『
『僕たちは、桜や梅に当てたくて当てているわけじゃないし出来るだけ、ボールを近づけないようにしているつもりなんだ。』
『私たちは、確かにボールを枝にぶつけて欲しくないと願っていましたが、あなたたちが困るような、ボールが消えてしまうような事まで、願っていません。』桜の精と梅の精は声をあわせて言った。
『そうね、そのタイムカプセルを見つけてあげて、パワーを取り除いてあげて、しかも、ボールが木や枝に当たらないようにする事ね。』
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