蛙
帳 華乃
蛙
「井の中の蛙、大海を知らず。されど空の青さを知る。」
しかしその井戸に雨よけの屋根がついており、その蛙は何も知らなかった。何も知らないまま、蛙は時折迷い飛んで来る羽虫を食べ、わずかに残り溜まったとうに枯れた湧き水に半身を浸し、生きながらえていた。そうするほかなかった。
言葉を交わせる頭をコルク栓のように岩に詰まらせたサンショウウオもなく、いつからここにいるのかも、今となっては思い出すこともできない。そしていつの日か、飢え干からびる。誰にも、何者にも知られることなく、いつの日か、ただ土に還る。
蛙 帳 華乃 @hana-memo
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