第17話 いざ、魔王城へ

「やぁ君たち、遅かったじゃないか」


 そう行って私達を迎えたのは、私達の師匠だった人物の一人、フォーレイであった。


「師匠、久しぶりですね。ところで聞きたいのですが、先輩と美咲はどこに?」


 隣りにいるカルラが言う。たしかにそうだ。話が違う。あいつらもいるはずだと踏んできたのだが。


「ああ、それなら、もう行ったよ。王都騎士団の奴らの最後くらい見てやろうって言って。でも、あの二人なら大丈夫でしょ。ここ程度で命を落とすような奴じゃない」


「…そういうことね。じゃあ、私達は行くから。」


 そう言い私達は城下町の入口である門をくぐる。その門をくぐった直後、私達は妙な違和感を覚えた。


「…おかしいね。一切人がいない。いや、ここは魔族がいないと言うべきかな」


「たしかに。おまけにここ、随分と空気が重いね。空気を強引に押し込んだみたいだ」


 そこで私は、ある可能性に気が付き、門の方に振り返る。


 そこからは、門の外の風景は全く見えなかった。


「…まさか」


 私はある考えに至り、入口に向かいナイフを投げる。そのナイフは、魔力に弾かれて門の外に出ることはなかった。


「やらかした。結界かよ」


 結界。それは一般的に、主にある特定の地域を守るために使われる、魔力による攻撃を防ぐ大きな障壁のようなものだ。だがこの場合は話が違う。


「閉じ込められたわね。どうする?壊す?」


 閉じ込めるタイプの結界。それがこの結界の正体だ。魔力こそかかるが、その効果は絶大。一度入ったら、出ることは楽ではない。


「いや、魔王城へ向かおう。元を叩けばなんとかなるとは思う」


 そう思い私達は魔王城の方に歩こうとすると、突然地面から魔法陣が浮き上がった。


「「え?」」


 私達はその直後、白い光に包まれ、どこかへと飛ばされた。







「…で、なんで君は行かないの?」


 優火達二人が入った後、門の前で立ち尽くしている彼、死神であるニアにそう声をかけた。まあこの人なら、気付いていそうではあるが。


「お前も気付いているだろう。俺達は外にいる敵を叩くべきだ。それに、そもそも入れないしな」


 彼の言う通り、私達はこの中に入れない。随分高度な結界だ。わざわざこの全てを解析して分解するにも、時間がかかりすぎる。そして、おそらく入れない原因は___


「___本人の魔力量により、入れないようになっているんだろう。でなければお前が入れないはずがないからな。」


「…まあ、君もわかっているんならいいや。奴はどうせ、この付近にいる。探すよ」


 私達は、この結界の主を叩くことにした。






_____注釈

・結界は、一般的に人を守るために使われるものであり、戦闘には使われません。ですが、強い魔法使いは、それを戦闘で使えるように調整したりもします。

・具体的に戦闘で使える結界は、

 自身にバフや有利な条件をつけるもの

 相手を逃げられないようにするもの

などがあります。

・結界は普通、展開した人が倒れると壊れます。ですが、例外はあります。

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