片思いの女子がR18動画配信をしていた件

三坂鳴

第1章 秘密の画面の向こう側

第1話 夜の誘惑と見つけた秘密

 「はあ……またこんな時間まで起きてるなんて、俺ってほんとダメだよな」

スマホの画面を見つめながら、日向 光太は小さくつぶやいた。

「明日も朝早いのに……やめればいいのに、つい気になっちゃうんだよ」

 布団にくるまり、枕元のスタンドライトだけをつけた部屋は薄暗い。


光太はパーカーのフードをかぶったままベッドに横になり、大人向け動画サイト「ポルノバブ」を開いていた。

 「何してるんだ、俺……いや、勉強もそこそこやってるし、軽音のサークルも行ってるし、これくらいはいいのか?」

 画面をスクロールしながら、彼は胸の奥にわずかな罪悪感を覚えていた。

しかし、好奇心がどうにも止まらない。

 「うわ、この関連動画……なんかやたらと再生数多いな。見てみるか……」

 指先が軽く震えた。


サムネイルに映る女性の顔が、どこかで見た気がする。

 「いや、さすがに似てるだけだろ。まさか未来がこんなことするわけ……」

 光太は名前を口にした途端、自分で赤面しそうになった。

ずっと片想いしている同級生の三浦 未来と、この深夜の動画が結びつくわけがない。

頭でそう考えながらも、鼓動は早まっていく。

 「クリックしたら最後、後悔するかもな……でも気になりすぎて落ち着かない」

 そうつぶやきながら、彼はサムネイルをタップした。


再生が始まると、まるで釘付けになったように瞬きすら忘れた。

 「あれ……声まで似てる。本当に……未来なのか……?」

 カメラに向けて笑顔をつくるその女性の姿は、まるで三浦 未来がそこにいるかのようだった。

ほんの少し巻いた黒髪、愛嬌のある目元、すらりとした体型。

光太の脳裏にある未来のイメージと重なってしまう。

 「いやいや、こんな偶然……でも、さすがにこれは……」

 彼は息をのんだ。


普段は軽音仲間とバカ話をしているときも、どこか大人しめな雰囲気を持っている自分とは思えないほど、胸の鼓動が荒くなっていた。

 「これ、本当に本人だったらどうすれば……いや、絶対に違うって……」

 頭の中で何度も否定しようとするのに、映像の女性が発する声や仕草まで見覚えがあるように感じる。


 光太は画面を閉じようかと迷ったが、指が固まって動かない。

彼女が笑う瞬間、未来の笑顔と完全に重なった気がして、思わず息を止めてしまった。

 「やばい……これはちょっと、どう考えても似すぎだ……」


 そのまま動画を最後まで見届けた光太は、スマホの電源ボタンを押して一気に画面を消した。

どっと汗が出てくる。

胸がざわついて、眠気なんて一切なくなっていた。

 「明日の授業、ちゃんと行けるかな……いや、そんな場合じゃないかも」

 深く息をついて一度目を閉じる。

暗闇の中、彼の心には未来の姿が焼きついたまま離れなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る