翌朝

朝起きるとまずベッド脇に置いてあったミネラルウォーターをがぶ飲みした。


「…………」

部屋を見渡してここが二日泊まったホテルだと認識した。つまり三日目の朝だ。


「…………」

ぼけーっとしながら昨夜のことを思い出した。


──まあロケも無事終わったし簡単ながら打ち上げという事で

そうして八人での打ち上げが始まったのだ。


最初は皆と一緒にビールだったが私はあまり美味しいと思わなかったのであれこれと模索したのが悪かった。気が付けば七杯くらいグラスを空けていた。


──ちょっと茉莉呑みすぎ

玉緒にそう言われた時に唐突に世界がぐるりんと回ったような気がする。


その後の記憶は曖昧だ。覚えていなくはないのだが前後や状況が断片的で何がどうなったのかがよく分からない。店の外に出た記憶もあれば最初の店と違う店に居たような記憶もある。まさかあの状態で二軒目に行ったとは思えないのに。


ぼけーっとした頭でそんな事を考えていると枕元の電話が鳴った。受話器を取ると相手は玉緒だった。


「おはよう、大丈夫?」

玉緒は心配気味にそう言った。


「おはよう、大丈夫、だと思う」

私は自分が案外ちゃんと喋れる事に気がついた。


「すぐ行くから待ってて」

そういうと電話は切れた。



はてさて何があったのやら。

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