夕食

「いただきます」

二人一緒にそう言って遅すぎる夕食を食べ始めた。


「美味しーい!」

玉緒は本当に美味しそうにそう言った。


「いつもすごいの食べてるじゃない」

私は呆れたようにそう言った。


「いつも?」

玉緒はきょとんとした顔でそう聞き返してきた。


「どこそこの有名料理とか」

私だって食べてみたい。


「ああ、あんなの一口だけよ」

玉緒は炒め物を頬張りながらそう言った。


「そうなんだ」

私は特に驚きもせずそう流した。そりゃああいうのを全部食べては居られないだろうなとは思っていたが。


「それにさ」

玉緒はもしゃもしゃ食べながら話を続けた。


「好みじゃないって言えないしね」

玉緒は少し苦笑いっぽくそう言った。確かに。


「だから茉莉の料理が一番美味しい!」

玉緒はそう言って会心の笑みを浮かべた。



もう慣れたけどこの笑顔には弱い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る