硬貨運賃

要想健琉夫

硬貨運賃

 今日、俺は趣味の神社仏閣巡りの為に、風の少ない、外へと出掛けた。

今日は、バスと列車を使い、目的地の神社まで向かう、その為運賃は必須なのだが、生憎最近貰った、交通系ICカードは今は残高不足だ。

 

 そこで俺は今日幾つか久しぶりに、硬貨を運賃として使い、整理券、切符に使用しようとしていた。

 

 家から直ぐの最寄りのバス停への、横断歩道を二度渡り、バス停に立ち寄った。

バス停には、人が居らず、それは俺には心地良かった。

数分すると、バスが信号を通り過ぎ、やって来るのが、見えた。

 

 俺はわざとらしく見える様に、何時もバスが停まる定位置に着いた。

一度、俺は友と共にバスに無視されていたからである。

 

 バスは、俺に駆け寄る様に、停車し、入口のドアを開けた。

俺は、バスに乗り込み、右側の機械から、整理券を契り切った、この行為も随分と久しぶりだった。

 

 リュック・サックを、背負い、床に置き、俺は前方の席へと着いた。

車内は、空席が目立つ、都合が良かった。

 

 バスが発進し、俺は或ウェブサイトの作家さんの小説を愛読する事にした。

バスや列車の隙間時間は、本を読んだり、小説を執筆したり出来るから、好きだ。

 

 それに、車窓からの景色も、醍醐味だしな。

 

 しばらく、バスは走り続け、人々が点々と席に座り込み、増えて行く中、俺は最寄り駅へのアナウンスを聞き取り、降車ボタンを押した、何時も降車ボタンを押す時、俺は百人一首をしている心地に成る。

 

 そこで、降車ボタンを押した時、財布から、運賃としての硬貨310円を取り出して、整理券の上に乗せた。

310と言う数字は、何時も運賃の事を考えてしまうほど、馴染みの深い数字だ。

 

 そんな事を考えている内に、バスは最寄り駅のバス停へと着いた。

そこで、俺は運転手さんに礼を述べながら、整理券と伴に硬貨を運賃箱に入れた。

その時、俺はやはり電子決済などでは無く、硬貨で決済をする方が、旅の心地を感じれるなと思った。

 

 そうして、消えて行く、現金の支払いに、寂寥感せきりょうかんを感じながら、その心にの心情を理解した。

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