第11話

○資料室前&廊下


<主要登場人物>

・婦警のお局さん

・草薙=警察庁からの元選抜ユニットメンバー

* * * * * * * *


あたりに非常警報が鳴り響く。


お局「......何?」


廊下に出る婦警のお局さん。

すると反対側にいた黒装束に遭遇する。


お局「...あなた、いったい、ここで何を...?」


黒装束、すかさず銃口を婦警のお局さんに向ける。

固まる婦警のお局さん、動けない。

狙いを定める黒装束。

婦警のお局さん、緊張が走る。

次の瞬間、資料室から飛び出す草薙。

草薙、婦警のお局さんの身体を抱きかかえ、一回転して黒装束の頭を打ち抜く。

崩れ去る黒装束。

何が起きたかわからない婦警のお局さん。


草薙「...大丈夫ですか?」

お局「......。」


ウルウル表情の婦警のお局さん。


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○廊下


<主要登場人物>

・藤堂=元警察庁からの選抜ユニットメンバー・現在田舎警察の一刑事

・新人=田舎警察の新人刑事

* * * * * * * *


非常警報が鳴り響く。

小走りで辺りを見回す新人。

激しい銃声と悲鳴が響く。

曲がり角の壁に背を向け、緊張する新人。


新人「...何だ? いったいここで何が起きているんだ?」


曲がり角から顔をのぞかせる新人。

奥の通路を狂気の笑い声を上げ、各部屋に連射する別の黒装束。


新人「...な、何だ、あいつ? ここを...ここをどこだと思っているんだ?」


銃を撃ちつくした黒装束、弾倉を入れ替える。

そのすきに、意を決して前へ出る新人。


新人「動くな!」


間。


銃をかまえる新人の腕がブルブル上下に震えている。

それを確認した黒装束、笑みを浮べ、見せつけるように、ゆっくりと弾倉を銃に装填する。

動けない新人。

ゆっくりとかまえる黒装束。


新人「...動くな! う、動くな!」


発砲する新人、だが弾は明後日の方向に飛んでいく。

黒装束、ゆっくりと標準を新人の頭を狙う。

緊張の一瞬、新人の背後から入ってきた人影がすばやく発砲する。

新人の目の前で、倒れこむ黒装束。

驚いて振り向く新人。

藤堂が銃をかまえて立っている。


新人「......。」

藤堂「...新人、お前には無理だって言っただろう?」


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○留置場


<主要登場人物>

・助八=運転手

・伝蔵=運転手助八高校時代の悪友

・婦警のウタ

・鷺宮=<元>陸上自衛隊からの選抜ユニットメンバー

* * * * * * * *


鳴り響くサイレン。


ウタ「......あれ? どうしたのかしら? 非常訓練は今日だったかしらねー? 

   ま、いいわ。」

助八「...あのう...。」

ウタ「...何?!」

助八「誘拐事件の瞬間が写っていた隠しカメラですけどぉ...。」

ウタ「...ああ、これ?」


ウタ、胸元から隠しカメラを取り出す。


助八「そのカメラ、返してもらえませんかねぇ...。」

ウタ「ダメよ! これ証拠物件だし。だいたい何よ! 婦人警官を盗み撮りする

   なんていい根性してるじゃない。これは、証拠として、没収します!」


ウタ、隠しカメラを再び胸元にしまう。


ウタ「ほらっ! 取れるもんなら、取ってみなさい!」


胸元を強調する婦警のウタ。


伝蔵「...あああー、どうしよー? あれには、イケナイはずかしい写真がいっぱい

   写ってるんだ。これじゃあ、俺、一生出て来れないかも...。仏様に失礼な事

   したなー。これじゃあ、極楽浄土に行けないや...。」

助八「お前、仏教徒だったっけ?」

伝蔵「そう。俺んちのオヤジ、お寺の住職。」

助八「...はあぁ、何やってんだかー。シュン...。」


入ってくる黒装束の人物=鷺宮である。


鷺宮「......。」

ウタ「...あなた、何やってるんですか? ここは一般の方は立ち入り禁止です! 

   出てってください!」

鷺宮「...お前が歌川ウタ...か?」


鷺宮、手にオーディション用紙を見て確認する。

ウタ「......はいっ? あれ? それ私が応募したオーディション用紙。何であなたが

   持ってるんですか?どこかで拾ったんなら、遺失物の受付は、ここじゃない

   です。」


鷺宮、いきなり婦警のウタのみぞおちに拳骨を入れて気を失わさせる。


鷺宮「...これで全部そろった......。まさか、最後の素体が、こんなところにいようと

   は、な...。」


鷺宮、婦警のウタを抱きかかえ、出ていこうとする。

その光景を見て驚く伝蔵と助八。


助八「...なに、なに? なにぃ?」

伝蔵「......って、おい! こりゃ、すげえぇ!」


鷺宮、振り向き、おもむろに銃を連射する。


助八&伝蔵「はっ! よっ! ほっ!」


飛んでくる弾丸を絶妙なタイミングでよける。

遠くから声が聞こえてくる。

藤堂や草薙たちである。

鷺宮、それを確認し、雑魚たちはそれを無視し、きびすを返し、留置場を出ていく。

それを4つの大きな眼で見つめる伝蔵と助八。


伝蔵「...おいおいおい! 何なんだ、あいつ!」

助八「...びっくりしたーっ! しぬかと思った。」

伝蔵「あんなモンでおれたちがやられると思うかってんだ!」

助八「そうだい! 高校が終わって帰宅途中、毎日、大田舎ストアで万引きした、

   おれたち、ド田舎工業高校低能児クラブ黄金のコンビ助八と伝蔵をなめる

   なっつーの!」

伝蔵「おうよ! ...いや、違う! 助八と伝蔵じゃなくて、伝蔵と助八だろ?」

助八「...いや、違う! 助八と伝蔵だ!」

伝蔵「おまっ! お前何言う! 俺の方が年上だろ? 俺1年留年してんだぜ!」

助八「あれ? 伝蔵? そうっだったの...?」

伝蔵「...ありゃっ! しまったっ! ずっーと隠してたのに...しまったーっ! 

   はずかしい...シュン...。」

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