スニーカー文庫の2次審査にあった当該作品を読ませていただきました。
情景が浮かんでくるほど文章力が高く、政治・軍事考証ともにできているのはとても高く評価出来ました。
リアル路線なので、ありきたりな白人の救世主の罠に陥られない点も評価できます
(ただ魔法を使って全て一瞬で解決するのではなく、現地人の主体性を尊重するためにセーブしている)
シナリオに必要な5つの「わかる」のうち4つ書かれていました
主人公がどんなやつか「わかる」
どんな世界なのか「わかる」
どんな味方がいて、どんな敵がいるのか「わかる」
どんな話か、今後の展開が「わかる」
どんなことをしようとしていて、なぜそれをやりたいのかが「わかる」
ただし、見落としていなければ動機がよくわかりませんでした
なぜ、異世界から一方的な事情で追放された主人公が厭世的にならずに現実でも楽園をつくろうとしているのかがわからなかったので、安っぽい正義漢の印象が少なくとも序盤は強かったです。
また、基本的にいい方向に転がっていくので、読者の感情曲線的にはそこまで変化を感じませんでした。SAVE The Cat でいうところの全てを失うオールイズロストからの逆転があると、見ていて気持ちがいいエンタメになると思います。
あとは主人公のアンチテーゼとテーゼが読んでいる限りわからなかったです。
最初読んでいた時、アンチテーゼとして、「力(魔法)を使えば理想を達成できる」⇒「力があっても理想は達成できない、守れないものがある」というスーパーマン的プロットがあると思いました。
現地人のアンチテーゼとテーゼの変化はしっかり描けていたと思います
「環境が悪いから変わることができない」⇒「主体性を持てば自分たちも変わることができる」
もし私がスクリプトドクターの視点で書くなら、場合によっては徹底的に救いのないシナリオがいいかもしれません。
例えば
異世界での凄惨な体験談が楽園づくりの動機になっている
(このとき、冷蔵庫の女をつくってはいけない)
依存先がドラッグから日向の魔法になっただけで何も変わらない
別の貧困地帯が嫉妬のバッシングを送る
現地人がカルテルに対して攻撃性を持ったり、大義名分の元ダーティハリーになったり