第2話 当店にドレスコードはありません。 後編
アタシは猫、喫茶店の看板猫よ。
父の名はコロッケ、母の名はアイリーン。
アタシの名前は……名前は、タキシードカメン
そう、アタシ達 猫社会で有名なネコ屋のオッチャンである七之助が名付け親なの……
名前の意味を知った時には怒りで爆発したわ
もー ! もー ! もー !
ウッシーおばさんみたいに怒っても仕方ないと思うの。
そんなアタシのご主人様はカッコいいおじ様なんだけど、内気で人見知りが激しい……何で喫茶店をやろうと思ったんだろう。
まっ、良いけどね。
代わりにアタシがお客様を接待するから……
◇◇◇
疲れきった女の人が歩いている、まるでゾンビのようにフラフラと歩いていたのが不意に此方を見た。
チャーンス !
しめしめ、カモ……お客様だわ。
アタシは、とびっきりの営業スマイルでカモを呼び寄せる。
食い入るようにアタシを見るカモ……お客様。
カラーン ♬
「ニャァ~ン《いらっしゃい》」
ご主人様の為にも逃がさないわよ。
アタシの魅力で、みんなメロメロなんだから !
ご主人様の入れた紅茶を楽しんでいる間、アタシは黙って見ている。
良い女はガッツカないの、アタシは淑女だからね。
ご主人様の紅茶に感動したのか、お客様の目から涙がこぼれ落ちた。
「ニャァ~ン、ニャァ~ン 《どうしたの、何処か痛いの ?》」
アタシは慰める、アフターフォローもバッチリよ。
ひとしきりアタシを撫で回したお客様は、なにやら決心したようだった。
人間も大変よね、疲れきるまで働くなんて……
アタシ達、猫を見習えば良いのに。
◇◇◇
あのゾンビのようだった女の人は、すっかりアタシの魅力のおかげでご主人様の喫茶店の常連客に成った。
そんなアタシを、ご主人様は褒めてくれる。
「ニャァ~ン、ニャァ~ン《褒めて、褒めて、もっと褒めて !》」
褒められるのは好き、怒られるのは嫌い !
今日も喫茶店の出窓で、お客様を呼び寄せる。
ほら、またカモ……お客様が来た。
カラーン ♬
「ニャァ~ン《いらっしゃい》」
アタシは喫茶店の看板猫タキ、今日もお客様をメロメロにする魔性の女の子タキ。
フルネームは内緒にしてね、アタシとアナタの約束よ。
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