プロローグ

第1話

音を立てることなく、崩れていった。気付けば、壊れていた。直そうとしても、もう無理だった。粉々になった。


「いつか、この日々が終わるって考えたら。切ないね。」

「大人になりたくないなあ、ぼく。今以上にバカにされそうな気がする。」

「また、会ったらいい。苦しくなったら、五人で集まればいい。」

「あんたがそんなこと言うなんて、珍しい。明日、雨でも降るんじゃない?」

「幸せだから、ここは。みんなと一緒に、いたいよ。」


 誰かと笑い合うことができる日は、幸せだと心から思える日は、いつ来るのだろうか。

 早く大人になりたい。まだ、子どものままでいたい。


「優子。奇遇だね、あたしも一緒。」

「優子ちゃん?泣いてる?」

「は、なんで、泣いてんだよ。」

「え、え、え、なんで?ゆ、幽霊でも見えたの!」


「・・・・・・違うよ。みんなと、一緒にいたいな、って。この時間が終わってほしくないな、って思って。」


「ふふっ、あたしも。」

「ぼ、僕も!」

「ぼくも。」

「・・・・・・俺も。」


 大人達は理解できない、私達の時間は『青春』と呼ぶ。

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