忍者VS侍 炸裂するばくだんおにぎり
テマキズシ
忍者ゴザル!悪代官を倒せ!
「ゴザゴザゴザゴザゴザ!!!!」
「「「ぐわぁ!!!!!」」」
我は敵をなぎ倒しながら、悪代官を始末するために屋敷の中を進んでいた。
その時!何か大きな物が我の眼の前に立ち塞がった!
「ぬぉ!なにやつ!」
「ここから先には進ませまセーン」
金髪青目の大男。間違いない!此奴は悪代官の懐刀。侍ジョン!
「そこをどけ。我は悪代官を殺しに行かねばならぬのだ。」
「そういうわけにはいきまセーン。ミーは悪代官様に恩があるのデース。」
「あの者は領民を問答無用で痛めつけ、苦しめてきた!到底許されることではない。」
「………それならその領民に苦しめられてきたミーは何なんですか?」
「ッ!」
ジョンは悲痛の表情を浮かべながらこちらを睨めつける。
「ミーは奴隷商人に捕まり、この国の殿様に買われました。
殿様はミーを可愛がってくれましたが殿様が若くして亡くなってからは、要らぬものと追い出されました…。
その後は流れるように様々な地へと行きましたが、皆ミーを見ると迫害してきました。
だが!!!悪代官様だけは違った!野垂れ死ぬ寸前だったミーを助け、温かい飯と居場所をくれました!!!
だからどんな悪事をなそうと関係ありまセーン!!ミーは悪代官様を守るだけ!!!!」
「何と言う覚悟…。だが我も譲るわけにはいかん。
弥助という者を主は知っておるか?
あやつは頭も力も弱く…顔も控えめに言って不細工。酷い話だがあやつを気にかけるものなどいやしなかった。
だがあやつは優しさだけは誰にも負けなかった。
あやつは偶然悪代官の取引現場を見てしまった。そして悪代官に殺された。
同じ場所で取引現場を見た子どもを守るために自らの命を囮にしたのだ!!!
ここで我が諦めるということは、弥助の覚悟に泥を塗ると同義!!!!」
「ならばもう決着をつけるしかないデースね。」
「ああ。そのようだな。」
我はジョンと戦闘になる。だがジョンはその体格にあった嘘のような大きさの刀を振り回す。まともに近寄ることができず、飛び道具は弾かれてしまう。
「ふーん!!その程度の力ではミーを倒せまセーン!!」
「ああ。どうやらそのようだな。」
「…?何を企んでマースか?」
我は印を結ぶ。余り使用は避けたかったがしょうがない。仲間のくのいちが悪代官を足止めしているうちに速く向かわねばならぬのだ。
「これぞ我が奥義!!現れよばくだんおにぎり!!!!!」
「…ばくだんおにぎり?!何を言ってマースか?」
ボフンと言う音と共にばくだんおにぎりが姿を現す。そしてばくだんおにぎりはゴロゴロとジョンの下へ転がりだした。
「…ッ!」
ジョンは咄嗟に刀でガードしようとするがもう遅い。ばくだんおにぎりはその名前の通り、爆発した。
「ぐわぁぁぁ!!!!」
「さて、これでようやく先に進むことができる。悪代官め覚悟しろ!!!」
爆発で吹き飛ばされたジョンを尻目に先に進もうとする。その時だった。ジョンは勢いよく跳び上がり、こちらに刀を振り降ろしてきた!
「なに?!」
「その程度では死なないデース!!!!」
ギリギリの所で回避することが出来た。バカな!こいつは不死身か?!
「悪代官様に貰ったこの鎧。その程度の攻撃は通さないデース!!!」
いや嘘だ。肉体を見ると所々怪我をしている。だが逆に考えると、至近距離で爆発を喰らったのにその程度。恐ろしい肉体。これでは爆発だけでは時間がかかる。
「……しょうがないな。すまぬなジョン殿。今から主は相当な苦痛を味わい死ぬことになるぞ。」
「その前に貴方を殺して終わりデース!!!」
ジョンは刀を構えこちらに突進してくる。だが悪いな。もう既に我は戦いに勝っているのだ。
「何故…先程のばくだんおにぎりは爆弾ではなくばくだんなのか…主に分かるか?…いや。これは主には分からぬ問題か。」
「…何を言ってマースか?」
「答えは簡単。かけているのだ。このばくだんおにぎりには爆弾の他にも、バクッと食べる弾丸という意味がある。」
「…だから何を、グッ、ガアァァァ!!!!」
奴の体に付いていた無数の米粒が奴の体を貪り始めた。これぞこのばくだんおにぎり第二の能力!余り我が使いたくなかった理由だ。
刀を落とし、のたうち回るジョンの口に新たに口寄せしたばくだんおにぎりを突っ込む!
「これなら流石の主でも死ぬだろう。これ以上苦しむ事なく逝けるはずだ。」
「ガァァァ!!!!あ…だい………も……わけ…。」
体が爆発し肉片がピチピチと散らばっていく。強い敵だった…。すまぬな。ジョン。
弥助の為にも、少年の為にも止まるわけにはいかない。
我は悪代官の下へと走り出した。
忍者VS侍 炸裂するばくだんおにぎり テマキズシ @temakizushi
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