僕の人生

ユーリイ

第1話

例えば僕が誰にも負けない天才だとして、誰からも好かれる人気者だとして、なにかの分野で名を轟かせた偉人だとして、そうすればこの希死念慮は消えてくれるのだろうか。だとしたら、僕の凡人にすらなりきれなかったこの人生に何の意味があったというのか。

人生に意味などないと言う人がいるが、僕はそれを理想論だと思う。意味などなければどれほどよかったか。僕の生きる世界がゲームならどれほどよかったか。そんなこと思ったところで、この人生が空想上のものでした、なんて言われないのだからこれだって意味の無いことだ。


当たり障りのない人生だったと思う。勉強は好きではなかったが、学校は別に嫌いではなかった。友人には恵まれていたと思うし、高校に進学するまで金銭面で困ったことはなかった。少し親が特殊なだけで、自分で学費を払うのであれば専門学校への進学も許された。別に専門学校に行きたかった訳ではないけれど、バイトをしながら進学できる学校なんてたかが知れていた。

おかげでお金を稼ぐ大切さを知れたし、バイトでかけがえのない友人も手に入れることが出来た。飲食店に勤務していたというだけで、友人より大人になれた気がした。

それが、僕の人生の全てだった。もうすぐで19になる年齢は、世間一般で言うと若いみたいだ。SNSを見れば希死念慮で溢れているこの世界も、現実を見ればそれ程でもない。僕のような若者が死にたいなどと言っても、メンヘラと笑われて終わるだけ。そんな世界が憎かった。


初めて死のうとした高1の夏、本気で死のうとした人間だけが見れる世界を知った。辛いも死にたいも苦しいも、実際死ななければ軽い言葉である事を知った。僕は世界が憎いけれど、この世界を愛している人がいることも知った。


顔が綺麗だったら、もう少し身長が高ければ、なにかの才能があれば、人に好かれる愛嬌があれば。死ぬほど思った。死にたくなるほど願った。楽しそうに笑っている人はみんな僕に無いものを持っていて、僕の悩みなんて努力でどうにかなるよと笑い飛ばされる様なものだった。努力でどうにかなるのであれば、僕の自殺はとっくの昔に成功していただろう。上手く死ぬための努力にすら、僕は見放された。


幸せそうにする演技だけ得意だった。人々はみんな、僕のことを悩みのない脳天気な人間だという。そんなことはないのに。上っ面だけで物を言う彼らが嫌いだった。そう思われるような行動をする自分のことは大嫌いだった。


高校を卒業して、知らぬ間に大人の仲間入りを果たした。精神年齢なんて物心ついた時から変わっていないのに。僕だけが取り残されている気分だった。生きる理由はないけれど、死ぬ理由もない。死ねない理由が細々とあるだけだった。見られたくないSNSがあるだとか、ライブを見に行けていないバンドがあるだとか、しょうもない理由だ。


でも、そんなしょうもなくてどうしようもない人生でも生きていかなければならないのだ。生まれてしまったからには生かねばならないのだ。僕は僕が嫌いだけど、僕は全人類に嫌われている訳ではないから。僕を好いてくれる人を悲しませていいほど、僕は高等な人間ではないから。死ぬ事だって、誰かに迷惑をかけることなのだから。


そうやって言い訳して、死にたいと願いながら今日もご飯を食べて、遊ぶ約束をして、矛盾している自分を嘲笑いながら、生きていくんだ。

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僕の人生 ユーリイ @ysmy_2411

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