死者の蘇生に関する闇の魔術
カブにのるさかな
1冊目
プロローグ
この本を手に入れてからの記憶が曖昧だ。
俺は今どこに向かっているのだろう。
1冊の本を手に1人の少年が階段を1段、また1段とぎこちない足で登って行く。
だがどこに向かっているのかは分からなくとも、目的だけは分かっている。
階段を登りきりとある部屋の前に立つ。
部屋の扉を開けると、そこには、ガラス張りの天井から月明かりに照らされた広い書庫があった。
そんな書庫を奥へ奥への進んでゆくと月明かりを反射し銀色に輝く長い髪が目についた。
「おや?見張りの人…という訳でもなさそうだ。」
そこには木製のラダーに腰掛けランプを片手に本棚あさる美しい1人の少女がいた。
しかし少年の意識は少女ではなく、少女の手にある1冊の本に釘付けになっていた。
「君も忍び込んだのかな?」
「その本を…」
自分が何を言ってないるのか分からない。
「この本?」
彼女が何を言っているのか分からない。
少年は腰から石でできた杖を抜き、少女に向ける。
「その本を…わたせ…」
「君…"のまれてる"のか?」
少年の杖から赤い閃光が少女目掛けて放たれる。
咄嗟の出来事にもかかわらずその少女も杖を抜き、放たれた赤い閃光をはじく。だが少女が持っているのは杖と言ってもそこらに落ちている木の枝のようなものだった。
はじかれた閃光は軌道がそれ背後の本棚へ直撃し大きな爆発を起こした。
「はぁ…今楽にしてあげよう。」
少女はラダーから降り少年へと杖を向ける。
向き合った両者は、同時に赤い閃光と白い閃光を放ち、互いの"魔法"がぶつかった。
翌日、とある協会の書庫にて激しい"魔法"での戦闘の痕跡と身元不明の少女の遺体が発見された。
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