高層ビルの屋上。
天城空の前に立っているのは、自分と瓜二つの男。
十年後の自分——天城冥。
そして彼は、戦いが始まる前から言います。
「この戦い……結末は、すでに決まっている。」
なぜなら、自分はすでにこの戦いを経験しているから。
この設定だけで、
「それなら、どうやって戦うの?」
と、一気に引き込まれました。
天城空には、五秒先を見ることができる力がある。
けれど、相手は未来の自分。
当然、自分の戦い方を知っている。
技術も経験も上。
さらに、相手もまた“これから起こること”を知っているかのように動いてくる。
未来を見る者と、未来を知る者。
互いに相手の行動を読み、そのさらに先を読もうとする戦闘はとてもスピーディーで、
「なら、次はどうする?」
と、こちらまで一緒になって考えながら読み進めてしまいました。
けれど、この物語の面白さは、戦闘だけではありません。
空が「未来は変えられる」と抗い続けるほど、少しずつ別の疑問が浮かび上がってきます。
なぜ、この二人は戦っているのか。
なぜ、未来の自分はこの場所に現れたのか。
そして——本当にこれは、ただ“未来を変えるための戦い”なのでしょうか。
読み進めるうちに、最初に見えていた物語の景色が、少しずつ違って見えてきます。
ここから先は、ぜひ何も知らずに読んでいただきたいです。
戦闘の勢いに引っ張られながら読み進め、その先で待っているものに、
「ああ、そういうことだったのか」
と、もう一度冒頭を思い返したくなる。
短い物語の中に、未来と運命をめぐる不思議な仕掛けがぎゅっと詰め込まれた作品でした。
戦いの果てに見えてくるものは、果たして希望なのか、それとも——。
読み終えたとき、『終わりなき夜』というタイトルが、きっと最初とは少し違って見えるはずです。