第9話

「ゆき、だ」




また、無意識に呟く




雪が降ると、どうしても眺めたくなる


そしてなぜか呟いてしまうんだ。





……「ゆき」って。






でも、呟いた後に思うの




『違う』って。





何かが違う。


これじゃないんだ。







ゆき……ううん、違う


ゆきじゃない。



じゃあ何?





もどかしくて、なんだか気持ち悪い


答えが見つからない。



まるで、あの夢のよう。



曖昧で、儚くて。


そのくせ、嫌に気になるんだ。

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