第16話

薄い唇から出たその言葉に、私は目を見張った。


雪は、悲しそうな、切なそうな、そんな表情を浮かべていて。




私は何がなんだかわからず、平静な雪に尋ねた。




「ど、どういうこと?無駄って…」


「ガン、みたいなんだ。肝臓ガン」




ガン…!?




「ガンって…!で、でも、治るガンだってあるんでしょう?まだ諦めるのは……!!」


「末期なんだ、彩月。余命は…あと半年」




は、半年…?




心臓が鈍い音を立てる









…何かが壊れていく。


目の前が真っ黒に。


頭のなかは真っ白に。








「う、そ…も、もう助からないの…?」


「100%じゃない。でも、助かる確率は低い」

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