第5話

両親に頭から反対され、そして彼と会うことも禁じられた



泣いてお願いしても、両親は聞き入れてくれず。


雪がどれだけ頭を下げても、認めてくれなかった。





『お前には許嫁がいるんだぞ』


『そうよ。あんな小説家のことは忘れなさい。きっと不幸になるわ』




父と母が放つ、その言葉。



耳が痛く、心が悲鳴をあげた。






彼と一緒になれない…


好きでもない男性と祝言をあげる…





…そんな未来、いらない。


そっちのほうがよっぽど不幸ではないか。






でも私は何も出来ない。


彼と会うことも許されない。







暗い感情を抱いたまま、気分転換にと、

昨日咲いたばかりの紫陽花を眺めていたら…





藍色の傘を差した雪が訪ねてきた、というわけだ。

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