第12話予選

「あちらへどうぞ」


受付から案内され、待合室のような場所に着いた。


屈強な冒険者が、沢山見受けられる。


ちょっと自分がいるのが場違いな感じもするのも事実だった。


ただ、参加するとタンカを切った以上・・・帰るわけにはいかない。


外からは試合を見に来た群衆が声を上げているのが聞こえる。


「お前!」


「ん?」


突然に緊張を落ち着かせていると声をかけられる。


声がしたほうへ向くと、そこには参加者だろうか・・・如何にも自信がありそうな冒険者がいた。


「俺はサエル、次のお前の対戦相手だ。まあ、お前では勝てないだろうけどな・・・!」


その冒険者は中級クラスで、俺と同じ位。


・・・こういう人はタレスにそっくりで嫌いだ。


でも、


「負けないぞ!」


そう言い返す。


もう荷物持ちだけの冒険者ではない。それなりに成長したつもりだ。


「カイト様、サエル様!会場へどうぞ!」


呼びかけられ、観客の前へ緊張した面持ちで進む。


____どうせ出場するんだ。勝って見せる!












「始め!」


審判が声を上げる。


この試合では魔術の使用は禁止されている。


身体強化も、もちろんだめだ。


武器の持ち込みも許されていない。お互いに試合中使用できるのは、鉄製の一般的な剣。


なるべく同じ条件でいるようにするため、この2つの制約の元、戦うことになっている。


初めに仕掛けたのはサエル、と名乗った冒険者だった。


「・・・!」


カイトは攻撃を待ち受ける。


が。


「?」


太刀筋が見える・・・!


というか。


「遅い・・・!?加減してるのか?」


「何を・・・!」


カイトはサエルの剣戟をたやすく避けられた。


それはあの時、魔獣を1撃で倒した時と同じ感覚。


レベルが上がったおかげなのかもしれない、と考察する。


「舐めるな・・・!」


そして、それからすぐケリはついた。


たやすくカイトはサエルの剣を受け止め、膂力だけで弾き飛ばした。


剣をサエルの喉元に向ける。


「勝者!カイト!」


「くそ・・・!」


初戦は思ったよりすぐ終わった。


もしかしたらもしかするかもしれない・・・!


カイトの1試合目は思ったよりあっけなく終わったのであった。

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