第6話新たなパーティ

「責任、とってよね?」


サキュバスのエヴァはそういった。


見たところ相当頭にきているようだ。


「勘弁してよ・・・」


カイトは不運に頭を悩ませる。


「こっちのセリフよ!あなたはレベルが大分上がったからいいけど、こっちはすべてのレベルを失ったのよ?」


彼女は俺の魔力をどうしても取り戻したいらしい。


無理矢理にパーティを組むことになった。


「不運だね」とチャモロさんは笑っている。


チャモロさんもエヴァもレベル1だ。それが理由だろうか。


チャモロさんは一緒にパーティを組まないか?と聞いてきた。


深刻なレベルダウンが起こった以上いままで通りチャモロの位である上級にはいられないのだろう。


「よろしくお願いします」


「うん!よろしく!」


「わたしは言わなくていいわよ。不快になるから」














冒険者ギルドに報告に戻る。受付に話すと、


「依頼、達成しました」


「はい・・・?カイトさんは死んだ、と聞いたのですが」


冒険者タレスの報告では俺は死んだことになっているらしい。


正直、腹がたったが丁度縁を切るにはいいタイミングかもしれない。


「虚偽の報告だったのですね。なにかタレスさんに伝えておきますか?」


「いいです。新しいパーティで組みますので」


そう言った時だった。


「お!カイト!心配したぜ?」


後ろからタレスが声をかけてきた。


「俺は死んでない!」


「急に姿が消えたから心配したぜ。生きててよかったな!」


むっとした。死んだなんて報告しておいて、なんて白々しい。


受付がタレスに声をかける。


「どういうことですか?」


「いや、遺跡が入り組んでて迷ってしまって・・・生きてるとは思わなかったんです」


エレナも口裏を合わせるように言う。


「・・・君たちは性格が悪いね。受付さん、僕のパーティーは僕1人を残して全滅しました。そしてタレスは彼を囮にして逃げました。きっと彼がいなかったら死んでいました」


チャモロがそういうと気まずそうに言った。


「・・・悪かった。どうだ?きっちり今までの事を謝るからまたパーティを組まないか?」


「俺はもう荷物持ちはごめんだ。それにもう俺は今までの弱い俺じゃない!」


「そうかよ。せっかく声をかけてやったのに後悔するなよ」


そう捨て台詞を吐くとタレス達はクエストに出かけていった。












そうして、サキュバスと魔術師と少し気弱な冒険者の冒険が始まる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る