第六話 特訓は続きます!
「もう朝か・・・・・・・」
負けた悔しさで全然眠れないと思っていたがいつの間にか寝落ちしてしまっていたらしい。
「起きるか」
疲れている身体を無理やり起こす。
今、こうしている間にも差は開き続けている。俺はモブなのかもしれないけれど、アイツらに置いていかれるだけなのは嫌なんだ。
いや、なんか違うな・・・・・・。
何が違うんだっけ。
そう考えていくと昔の自分のことを思い出した。
「本当は主要キャラになりたかったんだ」
いつからだろう?
自分の事をモブでもいいなんて思ったのは。
その時から。その時から心のどこかでは諦めていたのかもしれない。
「そうじゃないだろ・・・・・・・!」
主要キャラとかモブとかそんな風に線引きをしていたのは自分だ。本当に置いていかれたくないと思うのならば、ここからでも、今からでも頑張って行くしかない。
烈火たちみたいに強いカードが俺の元に来るわけでもない。パックを引いてキーカードがたまたま引けたみたいな主人公属性も持ち合わせていない。
それならできる事は、今からデッキを1から見直す・・・・・・・!俺が見落としていたコンボとかももしかしたらあるかもしれない。まあ、自分が持っているカードは定期的に見直しているのでない可能性の方が大きいだろうが。それでも0でないならやる価値はある。
俺が一番使っているコンボは『ライフポーション』と『風の翼』の2枚で起こせるお手軽コンボだ。そこにサラも加えることで、必要コストを減らしつつ運用できるようになる。
ミカエルで相手のソウルを破壊したときに手札から自分のソウルを増やせる効果は強力だがDPは4000と少なめだ。バトルになればまず勝てないだろう。それに、スペルカードの条件に引っかかりやすいからスペルで破壊されてしまう。
手持ちの他のカードは大天使ラファエルなどがあり、自分のターンエンド時にスペルカードを回収できる効果があるが、コスト7で軽減3っていうちょっと重めなんだよなあ。このスピリット出したターンにスペル打つのは厳しい。
うーん、考えれば考えるほどわからなくなってくるぜ。いっそ他の属性入れて混合デッキ・・・・・・・にするのはやめておこう。軽減するのも難しくなるし、コンセプトが崩れそう。このスピリットは火属性としても扱うみたいやつがいればまだやりやすくなるんだろうが。
でも、スペルカードだけなら入れられるか・・・・・・?ちょっとスペルカード見てみるか。
「・・・・・・!」
これは・・・・・・?
うーん、いけるか?他属性のカードである以上コストの問題があるな。サラがあれば減らせるから大丈夫か。なら、サラをサーチできるカードを・・・・・・・。
「できた・・・・・・・」
あとは実戦で試していくしかないか。
出かける準備をぱっぱとやっていく。
「いくか・・・・・・!」
今日もカードショップへ・・・・・・・!
「お、きたなはじめ!」
「遅いわよ、もう始めてるわよ」
「あ、はじめくんおはよう」
休日で示し合わせたわけでもないのにカードショップにみんな集合していた。
「悪い、悪い。デッキ見直してたわ」
「ならしょうがないわね」
「おら、バトル続けるぞ!」
「分かってるわよ!スタートフェイズ!」
どうやら今は広美と烈火がバトルしているみたいだな。
「はじめくん、やる?」
「ああ、もちろんだ」
「じゃあ準備するね」
ということで初戦は海人とやることになった。
「じゃあ始めるよ?じゃんけんーー」
じゃんけんの結果勝ったので先行を選ぶ。1ターン目はシャイニードラを2体だしてターンエンド。
続く海人のターンではセイバーシャークを出してターンエンド。互いに守りを固めた。
3ターン目。
「メインフェイズ!小天使ララエル召喚!召喚時交換発動!デッキから風の翼を手札に加える!続いて、フィールドカード、光の花園を展開する!」
まずコンボカードの一つである風の翼を手に入れた。ライフポーションは手札にはない。
「バトルフェイズ!シャイニードラで攻撃!」
「セイバーシャークで防御!」
DP勝負に敗れて、破壊される。
「次のシャイニードラで攻撃!」
「ソウルで受ける!」
海人のソウルは残り4。
「小天使ララエルで攻撃!」
「それもソウルで受ける!」
残り3。
「ターンエンド!ターン終了時、光の花園の効果で小天使ララエルを行動不能状態から回復させる!」
「くっ・・・・・・」
続く海人のターンでは、魚人ウオル2体、セイバーシャークを召喚した。
「バトルフェイズ!魚人ウオルで攻撃!」
「ララエルで防御!」
相打ちになる。
「次の魚人ウォルで攻撃!」
「ソウルで受ける!」
残り4。きたカードは魔女見習いサラ。お前そんなとこにいたのか!
「セイバーシャークで攻撃!」
ぐっ、結構強気で攻めてくるな。
スペル握ってるな。
「それもソウルだ!」
残りソウル3。
「ターンエンド!」
海人のフィールドにはセイバーシャークしかブロッカーはいない。残りソウル3。
サラがあったとしても、相手がスペル握ってるなら1手足りないか・・・・・?
「俺のターンだ、スタートフェイズ!ドローフェイズ!・・・・・・!」
ライフポーションは来なかったが、デッキに入れたスペルはきた。これなら足りるか?
「ーーーメインフェイズ、魔女見習いサラを召喚!」
いくぞ!
「バトルフェイズ!シャイニードラで攻撃!インスタントスペル、『カースチェイン』使用!サラで必要コストを減少させる!カースチェインの交換、このターンのバトルフェイズで相手は手札からスペルを唱えることができない!」
「闇属性のスペルだって!?」
これが新たに加えたカード。相手のスペル妨害カードだ。軽減はできないから少し痛いが、サラのおかげでなんとかなる。
「ぐっ・・・・・・!セイバーシャークで防御!」
「インスタントスペル、風の翼!サラの効果で払うエネルギーは1つになる!ブロックは無効だ!」
「・・・・・・!ソウルで受ける!」
残り2。
「次のシャイニードラで攻撃!」
「ソウルで受ける・・・・・・・!」
残り1。
「最後だ!サラで攻撃!」
「カースチェインでスペルが使えない・・・・・・!ソウルで受ける・・・・・!」
「・・・・・・・!」
残り、0。
「勝った・・・・・・・、のか」
「・・・・・・・僕の負け、だね」
いよっっっしゃあああああああ!!
勝てたー!!!
勝てましたわ!!!
くぅ〜〜〜!勝つって気持ちぇえなあ!
「まさか、他の属性を使うなんてね」
「ああ、カードを見直してる時に見つけてな。サラのおかげで運用できそうだ」
「やっぱりすごいよ、はじめくん!」
いや、ほんとよかった。
このまま負け続けるのは心が保てなくなるところだったからよ・・・・・・!一安心だぜ!
「ぐぬぬ・・・・・・・!」
「うぉっしゃあー!俺の勝ちー!」
どうやら烈火達のバトルも終わったようだ。
「じゃあローテーションね!海人、きなさい!」
「う、うん・・・・・!」
「へへ、じゃあ俺ははじめとだな!」
「お、おう」
その後、結構な数のバトルを行なったが俺の勝率は2.5割くらいだった。
くそ、ここからだからな・・・・・・!
見てろよ・・・・・・!
そうして俺たちのスピード特訓の日々は過ぎていき、とうとうデュエルトーナメント当日となった。
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