第8話 真の美とは

 永遠の壁を越えたリゼと仲間たちは、光り輝く天空の領域「セレスティアルの大地」に足を踏み入れる。この地は、全ての試練を乗り越えた者だけが辿り着ける場所であり、リゼたちの魂に宿る可能性を完全に引き出すための最後の舞台だった。


 広がる風景はまるで夢の中のようだった。空には七色のオーロラが舞い、地面には純白の花々が広がっている。その中央には、黄金に輝く「エレセイラの泉」が湧き出ていた。この泉に触れることで、リゼは真のセレスティアルとして覚醒すると言われている。


 「ここが私たちの旅の終着点……そして新しい始まり。」

 リゼはそうつぶやきながら、静かに泉に近づいていった。しかし、その瞬間、彼女の目の前に影のような存在が立ちはだかった。それは「疑念と恐れ」を形にした存在――リゼ自身の心の奥底に潜む不安の化身だった。


 「お前は本当に美しくなれると思っているのか? 本当にすべてを乗り越えられたのか?」

 その声は低く、重く、リゼの心を揺さぶった。しかし、彼女はこれまでの試練で得た自信と仲間たちの支えを胸に、静かに答えた。


 「美しさは見た目だけじゃない。私がここまで来られたのは、私を信じてくれた仲間たちがいたから。そして、何度倒れても立ち上がり続けた私自身の強さがあったから。だから――私はもう迷わない!」


 リゼの言葉に呼応するように、泉が一瞬光を放ち、彼女の体を包み込んだ。その光は優しく温かく、彼女の心の奥深くまで浸透していく。そしてリゼは、ついにセレスティアルとしての真の力を目覚めさせた。




 覚醒したリゼの姿は、以前と変わらぬように見えた。しかし、彼女の内側から放たれる光は明らかに異なっていた。それは彼女自身の「魂の輝き」であり、外見を超えた真の美を象徴していた。


 リゼはその輝きを通じて、周囲の仲間たちにも新たなエネルギーを分け与えた。セリナの声がさらに力強くなり、カインの心に秘めていた優しさが解き放たれ、エルノの瞳には新たな決意が宿った。リゼの美しさは、ただ自分自身だけでなく、周囲の人々の心にも影響を与えるものだった。


 「美しさとは、他者と共に輝くものなんだね。」

 エルノが感慨深げに言った言葉に、リゼは微笑みながら答えた。

 「うん。私だけのためじゃなく、みんなと分かち合うもの。それが本当の美しさだと思う。」




 最後にリゼは、黄金の泉の中心に立ち、自分の願いを込めた。

 「私が得たこの美しさを、未来のために役立てたい。誰もが自分自身の美を見つけ、輝ける世界を作りたい!」


 その瞬間、泉の水が空高く舞い上がり、光の粒となって世界中に降り注いだ。それは、リゼの願いがエレセイラ全土に届いたことを意味していた。彼女の内なる光が、遠く離れた人々の心にも届き、みんなが自分自身の美を見つけるきっかけを作った。


 リゼは仲間たちとともに、新たなエレセイラの未来を築くための旅に出る決意を固めた。彼女の冒険は終わりではなく、新たな始まりだった。




 「真の美しさは、誰もが持っている。それを見つけ、育て、分かち合うこと。それが、エレセイラの伝説が伝えたかったことなんだ。」

 そう語りながら、リゼは未来へと一歩踏み出した。


 エレセイラの空は、彼女たちの魂の輝きで満たされていた。そして、この伝説は、誰かが新たな夢を見つけるたびに、また新たな形で紡がれていく――。

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エレセイラの伝説 〜美しさを紡ぐ冒険〜 まさか からだ @panndamann74

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