夢の奇跡

雨宮徠空

夢の奇跡

 私は岡村桜。これは私が昨日、寝ている時に見た夢の中の話。



 その夢の中で、私は走っていた。

「ちょ、ちょっと待って!」

走っていた、というより追いかけていた、と言った方が正しいかもしれない。

「私のレシート!待って、飛んでかないで!」

なぜそのレシートに、そんなに本気になっているかって?

それは、私の推しがサインをしてくれたから!

たまたま推しがコンビニにいたの。もう奇跡だと思った!

サインをもらいたかったんだけど、急だったからもちろん色紙は持ってない。

サインできそうな紙が、しゃけおにぎりのレシートだけだった、ってわけ。

サインをしてもらって、外に出ながら、財布にしまおうとした時に風が吹いたの。

しかもとんでもない強風。

レシートが飛ばされちゃって、それで追いかけている。

「あ、手が届く高さになってきた」

これでようやく捕まえられる。そう思ったその時。

「ワン!」

どこから出てきたの、って言いたくなるくらいに、突然犬が出てきたの。

そしてレシートは噛みちぎられて、そこで目が覚める最悪な夢。

それもまだ辺りは薄暗くて。



 でもね。夢じゃなかったみたい。

枕の横を見たら、サインの入ったレシートが置いてあったの。

もちろん、噛みちぎられていない綺麗なやつ。

すぐには信じられなかったけどね。

結局、いい夢だったのかな。



 私は、レシートを抱きしめて、もう一度眠りについた。



                                    完

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夢の奇跡 雨宮徠空 @amamiya-raiku

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