たぶんあいしていた

細猫

あいしてる

「ずっと、りょーくんのこと愛してたのに、ずっと」

 凶器を振りかざすたび、彼は壊れていく。

 信じられないという目でこちらをみている。

 まだ息がある。心臓はゆっくりと、ゆっくりと、テンポを落としていく。


「あ、あいか」

「ずっと、好きだったのに」

 わたしはまた彼にナイフを突き刺した。

 その瞬間、なにかがはじける音がした。

 それはきっと、わたしが彼を愛していた音だ。


「りょーくん、大好きだよ」

 彼の意識は暗くて深い海の底に落ちていく。

「みんなに復讐するところ、見ててね、わたしの中で」

 そして、世界には誰もいなくなる。

 これでわたしは好きな人に愛してもらえる。

 わたしの恋が叶う。


「やっと、わたしを見てもらえるね」


「なんで……」

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