忘却の四月

風は遠く 東から

川べりを歩く 私たちの頬を撫でる

歩幅の違いに気を遣わなくなったのは

いつからだったかな


隣にいた人は 今は背中だけ

「服の裾を掴んでもいい?」

そんなことすら訊くのが怖くなって

もう何も言えなくなった


季節の中で 春が好き

その理由をわたしだけが知っていたら良かったのに


今年の四月は 色鮮やかだから

想いもすべて塗り潰せそう

息も出来ずに溺れ尽くした

この春の日々を

ひとつ残らず ふたつとない物にして

わたしの中に閉じ込めておくね

忘れてしまうあなたの代わりに 

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