第7話判明してきた現実

俺と巧さんは図書室に向かうため病室から少し離れた長いエスカレーターへと向かい歩いていた。


「氷室君、うちの姉さん達が迷惑をかけて怖い思いをさせて申し訳なかった!」


と巧さんがエスカレーターに向かう途中の自販機で飲み物を奢ってくれるというので自販機前に立ち止まりいきなり謝ってきたのだった。


「いえいえ、驚きはしたけど別に怒ってもいないし、特別怖い思いをしたわけでは無いんで気にしてませんよ。」


本当はいきなり太ももを撫でられて少し怖かったけど、そこは言わないのが礼儀だろうと思い言わないでおいた。「君は女性が怖くないのかい?」と言われたが質問の内容の意味が解らなかったので「特には」と答えて自販機を離れ、長いエスカレーターを二人で降り図書室についたのだった。


「おぉーこれはすごい」


俺は図書室に入って辺りを見渡す。図書室の中はとても綺麗で広く本棚も大量にあり、わかりやすいようにジャンルごとに区画が分かれておりとても使いやすい配慮がされていたのだった。


「母から話は聞いているので今、氷室君が必要としている本は多分これらだと思うんだけど?」


巧さんは複数の本を持ってきてくれ「何か聞きたいことがあれば何でも聞いてね」と言い「室長」と書いてある立札が付いたテーブルのところへ歩き専用の椅子に座った。俺は巧さんが持ってきてくれた本を手に取り、巧さんの近くの椅子に座った。


「えーと、世界地図と男性保護法案についての本と、キサラギ通信か」


俺は持ってきてくれた本を一冊ずつ読んで少し気になることを巧さんに聞きながら情報を集めっていった。そして2時間ほどして今現在の状況を理解したのであった。


「まさか、異世界転移とかいうやつに俺がなるとはなぁ」


図書室を後にし病室に戻った俺は得た情報を合わせ結論に至った。

まずこの国はキサラギ十字国といい、五つの島が十字に繋がっている形をしている国で人口は一億と四千万人でそこそこ人口の多い国だということが分かった。

周辺国にはガン・ガンダーラ国とレッドルーム国という国があり、さらに少し離れた所にはエイトフィート国など様々な国があることが分かった。とりあえずキサラギ十字国の主要駅は名前が怖いので使わないことにしようと思った。


次に男性保護についてだが、この世界は男が少ない為様々な特権を男に与えているのだという。

一つは毎月5~10万円ほどの給付金が支払われることだ。これは世界共通で行われていることでつまりこの世の男は生きているだけで丸儲けなのだった。さらに男がいる家庭では水道、ガス、電気代も無償になるのだという。

さらに男性警護人というのを国が警護人に報酬を支払い男性を守護させる制度もあるらしい


二つ目は精子提供義務である。これはこの世界の男性に唯一与えられた仕事というか作業で、二か月に一度住んでいる地域にある保健所に行き精子バンクとして渡す精子を提出しないといけないものだ。これに違反すると男でも罪に問われ月の給付金額が減らされるというものだった。逆に月に一度精子提供をしたり二か月に一度の提供義務を一年以上続けると給付額が満額もらえるという緩い法律だ。


三つめは男性は生涯10人以上の女性と結婚しなければならないというふざけた法律である。男性が35歳を迎える前に最低10人を娶らなければならなく、10人の婚約者を見つけなければ政府に強制的に婚約者を決められてしまうという。


他には男性を女性が性的に無理やり襲った場合とてつもない重罪が課せられるというのもあった(逆に男が女を襲った場合ご褒美となるのでそのまま結婚する場合が多いらしい。都市伝説らしいけど)

ただ一番気になったのが国主八家こくしゅはちけという存在だった。

東城・西条・北城・南条・清流院・花房・仲神・如月という名前の一族で過去にキサラギ国で政府が財政的なやらかしをしてしまい、それを財力で救ったのが国主八家であったという。その影響で政治にも口を出せる強い立場であるというのも驚きで、如月という名前あったので巧さんに聞いたところ「うちは分家だから、少ししか発言力ないよ」と笑いながら言っていたのだけど一族なのは変わらないのですごい話だった。


ちなみに世の男性は女性を恐れ嫌う反面、女性に対する態度が高圧的になる人がほとんどらしく麻衣さんと芽衣さんそして家族たちがセクハラしてきたのは、俺が他の男の人に比べて接触も嫌がらず普通に話ができる為、興奮した結果だと巧さんが教えてくれた。


「改めて、とんでもない世界に来ちゃったなぁ」


と独り言を言いながら俺は自販機で買ったコーヒーを飲み、現状をどう受け止めるか悩んでいた。

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