第7話ゴルフ
田刈盛路、年齢二十八、結婚四年目。
今回のターゲット五人に共通するゴルフで、一応生計を立てている、リーダー格の男だ。
百八十センチあり、一応毎日の筋トレで鍛えられた身体は、毎週予選から欠かさずツアーに参加しているだけあって、シード権をもつ一線級のプロとくらべても見劣りはしない。
田刈は、親が営む消費者金融会社の役員の一人として名前があったが、実質仕事らしいことは何もしていなかった。しかしそこから毎月一定額の報酬を得ていた。
そんな環境が、毎年たいした成績を残せなくても、ツアーに参加しながら、予選落ちの殆どの土、日を豪遊して過ごすことを可能にしていた。
田刈が、某温泉地に愛人らしき女を連れて現れたのは、ティとマックが一泊ごとに宿を換えながら、温泉三昧をしていた六日目のことだった。
二日目にティとマックが泊まった旅館の仲居からの連絡で知ることとなった。
田刈はいつも自宅では、専門のトレーナーのマッサージを、寝る前に受けることが日課になっていた。しかし、愛人と一緒の旅行先には、さすがに連れては来れないから現地で手配することになる。
そこで、理学療法士の肩書きと漢字四文字の偽名と携帯番号が記された名刺を、ティとマックが泊まった宿の仲居に紹介手数料を払う約束をして配っていた。
ホテルや旅館には専属のマッサージ師と契約していたりするから、お客さんを仲居さんがはじめに部屋に案内するときに、マッサージが必要か聴いてもらえないか頼んでいたのだ。
いままでスポーツ選手専門でやってきたので、怪我をさせてはいけないので、お年寄りはNGとも付けくわえていた。
田刈は、連絡のあった旅館で一番広い和洋折衷の部屋に泊まっていた。
ティとマックが部屋に入ると、愛人らしき女が浴衣姿で巾着袋を片手に、―いってきます―と中の男に呟き、部屋を出ていくところだった。
まだ二十歳前後にしか見えない女は、豊かな胸元から谷間を惜しげもなく露にして、ティとマックの視線を弄ぶように二人の間を通り過ぎて出ていった。
和室の畳に直接敷かれた羽毛蒲団に、ターゲットはうつ伏せになっていた。
ティとマックは顔を見合わせると、勢いよく田刈の背中に飛び乗った。
突然の衝撃に田刈は顔を上げ振り向いた。
ティは田刈の横向きになった顔を抑えつけながら、下顎を一気に引き上げ顎をはずした。
革手袋をしたマックは、田刈の尻を持ち上げて浴衣を捲り、ケーキ用の小さいフォークを柄の方から肛門へ、次から次へと差し込んでいった。
下半身の異物に気づいた田刈は、肛門に力が入って激痛が走る、マックが「…力いれるとフォークの先が刺さっていたいぞ……」と呟く。
肛門筋が弛むと残りの1本を差し込んで、ティに合図をおくる。
ティは田刈の腕を強引に背中に回すと脱臼させた。
マックがその間、洋室のテーブルに田刈のゴルフバックから抜かれたアイアンが1本とメッセージの書かれた紙を用意していた。
ティは田刈の浴衣を丁寧に整え、マスクを着けてやった。
その間、田刈に抵抗らしき動きはない、ただ泪眼が、動くと身体のどこかに激痛がくることを知らせていた。
田刈の女が大浴場から部屋へ戻ると、うつ伏せの姿勢で膝を立て尻を高く突き出した、田刈の姿に一瞬驚き後ずさる。
ふと、テーブルに置かれたゴルフクラブが視界に入る、その下に挟まれた紙を見るや、女はニヤリと微笑んだ。
─―なるほど、縛られてもいないのに、こんな格好してるってことか―─
女は着ていた浴衣を脱ぎ捨てると、テーブルからアイアンを掴む……痛そうアイアンでいいの……ウッドじゃなくて、大して変わらないか……。
軽くクラブの先で、女が田刈の尻を突く、異常なまでに大げさな反応の田刈に、思わず吹き出しそうになる。
なぜか、笑ってはいけないような……感じがしてきた女は、ムードを壊してはいけないと自分に言い聞かせる。
工事現場の男のように、田刈の腰に片足をのせ、アイアンを振りかぶると、円を描くように田刈の尻に打ち付けた。
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