第10話 神の視点
「あんにゃろ共ォ〜……ッ」
「絶っっっ対にマツに傷つけるなって言ったじゃんッ!」
ドローン越しに総てを見てしまった舎利祝は、全国チェーンKAIZAN BURGERのアイスシェイクがたっぷりつまった紙のコップを握り潰し、壁に投げつけて激昂する。
「なんで腕なんか狙うのよォ〜〜!首か胴体に撃てばいいものをさッ」
髪をぐしゃぐしゃと掻き散らしながら金切り声を挙げると、彼女の保有する二つ目のPCモニターにて、コメントが大量に
“草”
“ブチ切れたすかる”
“草”
“あーあ”
“えぇ……”
“うるさい”
“Holy shit”
“つよい”
“クソワロタ”
“WTF”
“グロいンゴねぇ……”
“ブチ切れてて草”
“それなw”
“もっと撃てや無能か?”
彼女の姿と彼の姿は同時に生配信されていた。
活動休止の
『宣戦布告』という挑発的なLIVEタイトルも中々に集客に貢献したが、長く想いを寄せていた人を拉致するという物騒な告白と、親衛隊による国軍への攻撃の動画がネット中に出回ったことが殊更に話題を呼んだ。
「さーさー皆じゃんじゃん前線入りしてね!木刀包丁金属バット何でもあり!全部“私”が赦すよ!」
“行ってくるンゴーw”
“現着したわ”
“寒いし帰っていい?”
“家宝の槍持ってくわ”
“銃声やばい耳死ぬ”
“この時のためにモデルガン改造したんだ俺”
“軍人って殺していいん?”
“うち腹腹時計持ってるよ”
武装した狂気の軍団が、彼女の指示で着々と現地に集合し始める……。
「撃て!撃てよ早く!逃げられるぞ!」
「揺らすなバカッ!」
「半端な所に当たったらまた自分に銃撃っちまうぞ……」
「誰かあの男を止める方法は無いのか!?」
覚悟を決めた侯爵はジリジリと、血の川を作りながら、消して背を見せず、群衆を睨み、住宅街の影へと消えていく。
「あの
「
「
「“てぇてぇ”の為にッ“てぇてぇ”の為にッッ」
ゾンビのような顔色と表情で嘆きつつ、彼に近寄る群衆の姿はあまりにもグロテスクで、松雪の身体の具合が更に悪くなる。
(まるで宗教だな……クソッ)
電柱に身を隠した瞬間に三発、空に向けて威嚇射撃。暴徒達がたじろいだ瞬間に踵を返して走り出し、とにかく遠くを目指す。
(とにかく早く!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます